堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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自治労連 感染拡大期の保健所実態調査報告

人員拡充、負担軽減は急務
平時から職員体制強化を(10月2日付)

 自治労連は今年4月前後の新型コロナウィルス感染拡大期における保健所の実態について調査を行いました。その中間分が報告されています。

 

 対象は新型コロナウィルス感染拡大の中心となった東京、大阪、神奈川などの保健所で今回中間報告された時点で回収数は31でした。なお検体採取の実施の有無では、あり45%、なし48%、無回答7%となっています。
物資の充足について 
▼マスク・防護服等の物資は4月は足りていたか? 全く足りなかった10%、少し足りなかった26%と4割弱の保健所等において物資不足の中で対応していたことがわかります。
 また9月上旬でも「備えはあるが十分でない」が61%と過半数。特に不足しているものはフェイスシールド(38%)、消毒液(31%)、防護服(28%)、手袋(24%)、マスク(21%)の順で多くなっていました。


残業などの労働実態
▼常勤保健師の4月のサービス残業について大幅にあった13%、少しあった32%と4割を超える回答でした。
 また、残業の個人・月最高時間数では「175時間」、「186時間」、「147時間」など業務量の増大によって過労死基準を大きく超過する異常な勤務を強いられていたことが明らかになりました。
 記述回答からは「毎日残業、土日出勤、代休すら取れない」、「管理職の時間外労働は100時間を超えている」、「早朝まで仕事を行い、数時間だけ帰宅した後に再度通常出勤するなど体力的・精神的にも厳しかった」、「3月、4月は休日でも緊急呼び出しがあり出勤することがあった」など、高い緊張度を強いられる環境のもと長時間過重労働が行われていました。
▼通常時からの人員体制について 全く足りない23%、少し足りない39%と不足回答が6割を超え、平時から慢性的に人員が厳しい中で新型コロナ対応を迎えたことがうかがえます。▼感染拡大期の4月の人員体制は 全く足りなかった65%。記述回答からは「忙しいからを理由とした応援要請では限界がある」、「疲弊に伴う対応能力の低下。夜遅くの帰宅が続き、新情報を得る時間も持てない」など対応に追われる中で改善策も見出せない状況だったことが伺えます。


人員不足の補充方法
 他部署からの応援60%が圧倒的多数となっています。ただし「応援職員が次々替わり負担がある」「職場での会議がなく、各自が兼務や応援体制への疑問や改善点などを出し合う場がない」「応援人員を出したが、経験年数の少ない職員を出すわけにはいかず、応援が数名に偏ることとなった」など応援職員が必ずしも職場のニーズを反映しきれなかったことがわかります。なお2位以下の方法は、非正規の新規採用19%、業務委託9%、派遣6%、正規の新規採用6%と続きました。


今後必要な対策
 医師・保健師等専門職種の人員拡充27%、専門職種以外の人員拡充15%と体制強化を望む声が1位、2位を占めました。記述回答でも「平時から担当主事、担当技師が1人体制では応援も組みにくい」「育児休暇を取得している職員が多いが代替は臨時職員で、正規の仕事をしてもらえない」、「専門職、専門職外問わず、職域として対策すべき事項に取り組めるよう人材育成が必要」など漠然と体制を強化するだけでなく、日頃からの人材育成の重要性も示されました。 
さらに「職場が3密状態になっている」「密の場で働かざるをえない状況に不安を感じる」など応援の対応等で職員が一時的に増えるもと、職場内では感染防止対策も不十分です。職員のいのちと健康を守るとともに、国民のいのちを守る保健所の機能を止めないためにも保健所の職場環境整備は急務です。