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「いま、あらためて『不要不急』を考える」(第2部)カジノ(IR)は要るのか?④

5月18日付

 

ギャンブル依存症と「成長戦略」
 日本には、すでにギャンブル依存症に苦しむ人が約320万人もいると厚労省が推計しています。
 カジノ誘致に否定的な意見で「ギャンブル依存症」への懸念が多いのは、家族をも巻き込む悲劇や犯罪にもつながる深刻さを伴うからです。カジノ推進派が打ち出すギャンブル依存症への対策はこれへの対抗です。
 カジノはギャンブル依存症を製造する施設であり、依存症対策をいうならあってはならない施設です。
 「大阪IR基本構想」では、カジノへの入場者を年間590万人、その73%を占める430万人の日本人が負ける金額を1600億円(外国人を含むと3800億円)と試算しています。1回平均約4万円も負ける計算です。客個人は勝ち・負けを繰り返し、結局負けるのですが、その過程でギャンブル依存症が確実に発生します。
 大阪府・市に納入金が700億円入るといっていますが結局は日本人がカジノで負けたお金の一部です。
 カジノ事業者のもうけは賭博客の資金ですから、社会的にみれば「右から左に資金が流れるだけ」です。依存症の人を増やすことなしに、事業者のもうけは増えません。こんなことが「成長戦略」であるはずがありません。
 また夢洲は産業廃棄物や河川の浚渫土砂、建設残土を使って4000億円の巨費を投じて造成された埋め立て地ですが、格安の賃借料で貸し出す計画です。さらに軟弱地盤での難工事が予測され、建設コストがどこまで跳ね上がるかわかりません。
 世界最大のカジノ企業である米国のラスベガス・サンズは、日本進出を断念すると発表しました。
 新型コロナウイルス感染症とのたたかいは長期化するのではないか、という専門家もいます。約100年前の大恐慌以来の世界同時不況ともいわれています。政府はもとより、大阪府大阪市の政治・行政が、命と生活、営業を守りながら、長期戦の可能性が高い「コロナ危機」から復興するために、私たちが今後「何を最優先しなければならないのか」が問われます。
「不要不急の最たるもの」…カジノ誘致は中止しなければなりません。
(おわり)