5月18日付
新型コロナ危機のさなか、安倍政権は国家公務員等の定年年齢を65歳に引き上げる改正と束ねて検事総長や検事長の定年延長を可能にする検察庁法改定案の強行成立を狙っています。
「国公法に合わせるだけ」は事実と異なる/
内閣の介入を「制度化」
改定案は、①検察官の定年を63歳から65歳に引き上げ、②63歳からは検事長・次長検事・検事正などの幹部には就けない「役職定年」を設けています。
一方、定年を迎えても、③「内閣が定める事由があると認める時」には1年を超えない範囲でそのポストにとどまり、さらに④「内閣の定めるところにより」1年を超えない範囲で期限を延長、再延長できる特例が設けられています。加えて⑤「内閣の定めるところにより」65歳以降も最大68歳まで勤務延長(定年延長)可能です。
総理大臣をも起訴できる権限を持ち、政治からの独立が求められる検察官。しかしこの特例は内閣による検察人事への恣意的な介入の「制度化」です。検察官の政治的中立性や独立性が脅かされます。
従来の見解を覆す閣議決定/独立性を脅かす
改定案の発端は、安倍政権が1月に「政権に近い」とされる黒川東京高検検事長の定年延長を閣議決定で強行したことです。
現在の検察庁法には定年延長の規定はありません。しかし、安倍政権は国家公務員法の定年延長規定を根拠に黒川氏の定年延長の正当化を図ってきました。これは「国家公務員法の定年延長は検察官に適用されない」との従来の政府見解を覆す違法な「解釈変更」です。
批判の声封じ
13日の質疑で武田担当相は、検事長らの定年延長が必要な事例は「黒川氏の件以外ない」と答弁。検察官の定年延長の具体的な基準について「今はない」と答弁不能に陥りました。
今回の改定案の狙いが黒川氏の定年延長を決めた違法な閣議決定の制度化であることが明確になりました。
安倍政権はこの間、公選法違反、カジノ汚職、桜を見る会など疑惑が相次いでいます。批判を封じるために黒川氏を検事総長に据える思惑が働いた、という疑いが深まります。
新型コロナの収束に全力をあげるべきときに、改定案の成立を急ぐ与党の姿勢に批判の声がツイッター上で爆発。著名人も次々と意思表示しました。日弁連のほか全国39の弁護士会も反対の会長声明、15日には、元検事総長も含む検察OBも反対の意見書を出しました。
野党は、「役職定年延長」部分を切り離すよう求めることで一致。違法の上塗りをする改定案は撤回すべきです。
堺市職労として、大阪自治労連の要請に応え、衆議院内閣委員会の委員長・理事・各政党あてに要請FAX行動に取り組みました。