初任給等若年層のやりがい確保、非正規を含めた全体の底上げを(10月9日付)
10月4日、堺市人事委員会が職員の給与等に関する報告及び勧告を行いました。今回は、月例給と一時金について考えます。
今年度の人事委員会勧告のポイントは左記のとおりです。
勧告のポイント
月例給、特別給(ボーナス)ともに引上げ【月例給は2年連続、特別給は5年連続の引上げ】
①月例給:職員給与が民間給与を615円(0.16%)下回る。較差解消のため、給料表を引上げ改定
②特別給:職員の年間支給月数(4.40月分)が、民間の支給割合(4.46月分)を下回る。0.05月分引上げ改定(4.40月分→4.45月分)引上げ分は勤勉手当に配分。
③医師・歯科医師に対する初任給調整手当の改定
初任給 改善求める
月例給では、民間との較差615円を解消すべく、職員給与を引き上げるとされ、特に今年度は、「初任給及び若年層の給料月額を重点的に引き上げることが適当」と述べました。これは、堺市の初任給について、据置きが続くなか、近隣政令市と比較して2~3000円低い現状が背景にあります。
また、市内民間労働者と比較(下表)しても、大卒で大きく下回る状況です。 しかし、較差は地域手当も含めて615円にとどまるうえ、近隣では大阪市や岡山市も初任給を含めた若年層の重点引上げを勧告しており、今回の低額改定では、差が一層拡大することも懸念されます。市職員の確保が近年厳しさを増す中、人事委員会報告でも「人材像の情報発信」「採用試験のあり方の見直し」などが触れられています。やりがい確保とともに、若年層の賃金水準の確保も求められています。
一時金の引上げ
特別給(一時金)については、0・05月引上げとなりましたが、その引上げ分をすべて勤勉手当に配分するとされました。
なお勧告では、来年度から人事院勧告と同様、夏冬の一時金月数を同じにするよう求めています。これは、それぞれの勤務期間に差がないこと、民間においても月数が同じであったことから見直しを行うとされています。また、再任用職員についても、0・05月を勤勉手当に配分するよう勧告されました。
全体の賃上げこそ
この勧告内容が実施された場合、低額にとどまるとはいえ、任期付職員も含めて賃上げが実施されます。
しかし、職員全体の底上げという観点からは、10月1日から940円に改定されたとはいえ最低賃金ギリギリの時給にとどまる短期臨時職員や、15年度4月に報酬改定されて以来据置きされている一般非常勤職員なども含めた賃上げが必要です。
人事委員会勧告も参考にしつつ、生活実態、職務実態に見合った全体の賃上げを求めます。