自治体の社会保障の職場で働く組合員が集い学習・交流(7月7日付)
17日の全体会では、伊藤周平教授(鹿児島大学)が「安倍政権の社会保障破壊と改憲構想のゆくえ」と題して講演しました。
一つ目に、介護保険の問題について、「介護報酬の引き上げが利用者負担の増大につながる保険制度のもとでは、人手不足になると賃金が上がるという労働市場の原則が通用しないため、介護保険のもとの安心・安全の介護を守っていくには、介護職員の待遇は公費で賄うのが国の責任だ」と述べました。一方で、要介護1、2の利用者が特養の入所対象から外されたことや、軽度者お断りの事業者も出てきていること、利用者負担が増大することなどによって、介護を受けられない高齢者が増えていることなどから、社会保障としての介護は保険制度で扱うべきではないことを強調しました。
二つ目に、社会保障の財源問題について、消費税増税は社会保障拡充のためではなく、これまで所得税や法人税の税収でやっていた分を消費税に置き換えるだけで、法人税減税がその狙いとしてあるということを指摘。さらに、税収の基本原則は応能負担であり、最低生活に食い込むような課税や保険料の賦課は行ってはならないという点においても、逆進性の高い消費税増税はあってはならないことだと強調しました。
全体を通して、「貧困や格差が拡大する社会は戦争に突き進む。共謀罪を強行採決し、さらに改憲・戦争を推し進めようとする安倍政権打倒のためには、運動としても社会保障を争点化していくことが必要不可欠だ」とまとめました。
4つの分野から
特別実践報告
各分野特別実践報告では、愛媛県医療介護評議会事務局長・石村貴彦さんが「医療・介護問題:川上から川下へ」と題して、限られた予算の中で医療と介護の連携が進まない状況があること、それでも地域における医療・介護は住民にとって大きな役割を持っており、医療・介護の職場を守っていくこともまた地域住民の命を守るために重要だと語りました。
次に「児童相談所をめぐる状況」について名古屋市職労・西村洋子さんが、児童相談所の相談件数が増加するとともに一時保護所もまた増加傾向にあり、常に定員いっぱいの状況であることや、夜間における家庭訪問、保護者の面接等のために職員の超勤が問題となっていることなどを報告しました。
京都府向日市職労・岩谷誠司さんは、「手話言語条例の制定と手話通訳者の増員について」、全国の自治体における手話通訳職員採用の現状や、向日市の手話言語条例に基づく手話通訳職員の実態などを紹介しました。
「自治体保育労働者・若手全国ネットワーク」について、愛知県本部保育所部会の田境敦さんは、自治体で働く若手保育者が、自治研や集会を自ら企画し、若手組合員の輪が各地に広がりつつあることなどが、実際の活動の様子の動画も交えながら報告しました。