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政治活動制限条例案 廃案求めるアピール発表

疑問や批判相次ぐなか

三たび市議会提案(6月15日付)

6月13日、大阪維新の会堺市議会議員団は、三たび「政治活動制限条例案」を市議会に提案しました。これに対し堺市職労は、自治労堺市職員労働組合と連名でアピールを発表しました。

世界標準から立ち遅れる国家公務員法の規定 この条例案は、地方公務員法第36条に規定されている政治的行為の制限を超えて、国家公務員並みの制限を加えるものです。

 いうまでもなく「政治活動の自由」は憲法第21条で保障された基本的人権であり、その制約は必要最小限とする必要があります。

 このことから、現在の国家公務員法の規定は、「公務員の政治活動は自由」とする世界標準から大きくたち遅れているとの批判が相次ぎ、最高裁平成24年12月判決で国家公務員法の現行規定は合憲としたものの、対象となる行為は「公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められる行為」と限定解釈しています。

条例案に疑問相次ぐ

 政治活動制限条例案は、平成25年と27年に提案されましたが、こうしたことから、提案当初から「憲法上の疑義がある」との批判も含め、さまざまな批判が噴出してきました。

 しかし、今回提案された条例案は、これまでの条例案と一言一句変わらない内容となっています。

 これに対し、本会議では質問者から、「これまでの議論を踏まえて提案者として修正を行うことは考えていないのか」「罪刑法定主義に照らしても規定が不明確だ」との疑問が相次ぎました。

 堺市人事委員会からは「本条例案の解釈及び運用等が、憲法の保障する政治活動の自由を不当に制限することとならないよう慎重に検討する必要がある」との意見が出され、堺市当局も改めて「立法事実がない」と答弁しました。

質問にまともに応えず

 しかし維新の会は、「文面の修正を考えていない。意見をもらったが修正に至るほどのものではなかった」「国家公務員法違反事件最高裁判決は合憲だった。したがって問題はない」「提案者の過去の答弁は議事録を見ていただきたい」などと、これまでの議論経過を踏まえないばかりか、質問にまともに応えない答弁も散見されました。

 各会派からは「これまで4年間の疑問に応えていない。不誠実だ」との強い批判が寄せられました。

廃案目指して取組みを

 条例案は、民主主義の根幹である「表現の自由」「政治活動の自由」に対して、過度に広範かつ不明確な規制を加えており、大きな委縮効果をもたらすものであり、規制は必要最小限のものとは言えず、最高裁判例に照らしても、違憲の疑いがあると言わなければなりません。

 しかも条例案では、政治的行為をした場合、懲戒免職を含む懲戒処分が予定されており、刑事罰として罰金を科せられるより重大な不利益を受ける可能性があります。

 民主主義社会においては、誰もが政治に対する意見を持ち、発言する中で政策形成がされます。そのためには思想良心の自由、集会・結社・表現の自由は基本的に社会を構成するすべての人に認められなければなりません。

 私たちはこの立場から、三たび提案された政治活動制限条例案の廃案を目指して取り組みます。