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「改悪」地方独立行政法人法が成立 自治労連が見解発表

地方自治体における窓口業務の外部委託を許さず直営での充実を!

(6月16日付)

地方自治体の窓口業務について、公権力の行使を含む「定型的な業務」を地方独立行政法人に行わせることを可能にする地方独立行政法人法の改悪を盛り込んだ地方自治法等の一部「改正」案が、6月2日参議院本会議において、自民、公明、維新などの賛成多数によって可決、成立しました。

 窓口業務を地方自治体の業務から切り離し、地方独立行政法人に行わせることは、住民の基本的人権を守る行政サービス水準を著しく低下させるものです。安倍内閣は「骨太方針2015」で「公的サービスの産業化」を打ち出し、「市町村で取組が遅れている分野や窓口業務などの専門性は高いが定型的な業務の適正な民間委託の取組の加速をはじめ、公共サービスの広域化、共助社会づくりなど幅広い取組を自ら進める。その際、窓口業務のアウトソーシングなど汎用性のある先進的な改革に取り組む市町村数を2020年度までに倍増させる」としていました。今回の地独法の改悪は、2014年に東京都足立区が戸籍事務を民間企業に委託したところ、戸籍法違反や偽装請負の問題が発生して住民からも批判を浴び、一部を直営に戻さざるを得なかったことを受け、地方独立行政法人を突破口にして、窓口業務の包括的な委託を進められるようにする意図をもったものといえます。

 地方自治体の窓口業務は、①住民生活の重要な場面において憲法と関係法令に基づいて住民の基本的人権を保障する、②住民が自治体行政と直接に接する場であり、住民に必要な行政サービスを提供するための総合窓口となる、③住民の個人情報を適正に管理し、犯罪や本人へのなりすましなど不正利用を防止するなどの地方自治体の根幹に関わる業務を担っていることから、地方自治体が自ら主体となり正規の自治体職員が直接担うことが必要です。

 窓口業務を地方独立行政法人に行わせることは、①住民の基本的人権を守る自治体の機能が損なわれる、②住民の個人情報の管理や不正な請求などに対して適正な対応ができなくなるおそれがある、③複数の市町村の窓口業務を一括して地方独立行政法人に行わせることで自治体の集約、統廃合を加速させる、など重大な問題があります。5月17日の衆議院総務委員会では自治労連の福島副委員長が参考人として意見陳述を行い、窓口業務を地方独立行政法人に行わせることの問題点を指摘し、法案への反対意見を表明しました。また、同委員会では与党が推薦した自治体首長の参考人からも「安易なアウトソーシングには危惧を感じる」との意見が述べられました。

 改悪法は成立しましたが、国会の審議において「地方独立行政法人の設立に当たっては、自治体の自主性を尊重すること」とした付帯決議が採択されるとともに、「設立はあくまで地方自治体の判断であり、一律的に押し付けるものではない」との政府答弁も行われました。今後、地方独立行政法人に行わせることを可能とする「定型的な業務」は、総務省が関係省庁と協議をして省令で定めることとされています。

 自治労連は、総務省や関係府省に対し、行政サービスを低下させる省令の制定を行わず、地方自治体に対して窓口業務のアウトソーシングを押し付けないことを要請すると同時に地方自治体においても、窓口業務を民間に委託したり、地方独立行政法人に行わせることを許さず、自治体の直営での充実と必要な人員の確保を図ることを求め、住民との共同をひろげてたたかいます。