堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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大阪維新の会堺市議会議員団が政治活動制限条例案を三たび提案

異様な人権感覚があらわに(6月5日付)

大阪維新の会堺市議会議員団が、今議会に、「堺市職員の政治的行為の制限に関する条例案」を三たび提案予定であることがわかりました。

 同条例案は、憲法第21条に規定する「政治活動の自由」について、国家公務員並みの規制を行う、判例とも相容れない内容です。

堺市職員の政治的行為の制限に関する条例

 この条例案は、本来地方公務員法では禁止されていない、政治的団体の機関紙発行の援助、デモ行進の企画・組織・指導や援助、政治的目的を有した署名・無署名の文書等の発行・編集及び配布などがすべて禁止の対象とされるなど、国家公務員法第102条及び人事院規則の規定を、堺市職員に適用する内容です。 そもそも国家公務員法の規制は、「過度に広範かつ不明確であり、公務員にも当然保障されている、民主主義の根幹である表現の自由、政治活動の自由に対して大きな委縮効果をもたらすものであり、必要最小限の規制と言えず違憲である」との強い批判があります。

 この点について最高裁は、国家公務員法違反事件(世田谷事件・堀越事件:2012年12月7日)で判例を実質的に変更。国家公務員の政治活動の自由について、違憲との批判が強い現在の国家公務員法の規定を限定解釈(政治活動の自由を保障する)する判決をくだしました。

条例案をめぐる経過

▼2013年5月議会に、大阪維新の会が提案。当初からその違憲性が問題視され、疑問が噴出。継続審査を繰り返す。

▼14年3月議会で、本会議で可決。市長より、立法事実不存在として、再議。

▼再議について、継続審査を繰り返し、15年3月議会にて廃案。

▼15年9月議会で、大阪維新の会条例案を再提案し、本会議で可決。市長より、立法事実不存在のため再議があり、否決される。

異様な人権感覚あらわ

 この条例案は、提案当初からさまざまな懸念や批判が出されました。

 堺市人事委員会は、「職員の政治活動の自由を不当に制限することとならないよう慎重に検討する必要がある」と指摘。

 また、審議過程では、各会派から「表現の自由に対する大きな萎縮的効果をもたらす」「職員の人権と憲法を守るべき」「地公法の規定があるのになぜ条例が必要か」などの疑問が噴出。提案者の維新の会が答弁不能になるなど説明責任が果たされない状況が続きました。

 維新の会は、こうした疑問に応えないばかりか、「堺市における立法事実は存在していない」とする市長に対し、「立法事実不存在の証明」として市当局に職員に対する「思想調査」を行うよう要求。異様な人権感覚があらわになりました。

 なお、橋下元大阪市長が行った大阪市思想調査は、16年3月25日に大阪高裁が憲法違反であると認定。判決が確定しています。

廃案しかあり得ない

 このように条例案は、政治活動の自由という基本的人権を不当に侵すとともに、自由闊達な議論を職場から奪う内容です。職場に混乱を持ち込むものであり、廃案以外あり得ません。

 私たちは、堺市議会の良識ある判断を求めて取り組みをすすめます。