法案に潜む監視社会化の危険(4月14日付)
共謀罪法案(組織犯罪処罰法改定案)が衆議院で4月6日、審議入りしました。安倍政権は後半国会の重要法案と位置付け、今国会での成立を狙っています。
各層から
反対の声
国民の思想・信条や言論・表現の自由をおびやかす稀代の悪法に、法律家団体や日本ペンクラブなど各層からの反対の声があがり、自治体決議も広がっています。テロを防ぐには共謀罪が必要と政府は説明していますが、テロ対策としては、すでに13もの条約を批准しています。
「共謀罪」法案は、犯罪が実際起きていない段階でも2人以上で計画し「準備行為」をしたと捜査機関がみなせば、取り締まり、処罰の対象にするというものです。これは近代刑法体系とは異質の発想です。近代刑法では、犯罪によって具体的な被害が生じた場合に初めて処罰するということが原則で「心の中で思った」だけでは処罰対象にできないからです。
まだ発生していない“犯罪”を「話し合い、相談」の段階で取り締まるとなると、捜査のあり方は従来と大きく変わります。“犯罪”は話し合われていないのか、捜査機関が日常的に国民の言動に目を光らせることになってきます。
国民の声で
4度目の廃案に!
安倍首相らは「一般の人たちが対象になることはない」と繰り返しますが、法案には、そんな歯止めはありません。どんな団体・組織を対象にするかの判断は捜査機関です。警察などから「怪しい」と決めつけられた団体、それに所属する個人は電話盗聴や尾行などの対象にされる危険があります。
「共謀罪」操作で通信傍受法を使うことを否定していません。メールやラインのやりとりも監視される恐れが国会審議で明らかになっています。憲法21条が保障する「通信の秘密」に対する重大な侵害です。「共謀罪」法案には“密告を奨励”する条文もあり、えん罪を続発させる危険が指摘されています。
「共謀罪」は過去3度国会に提出されたものの「内心」を取り締まり、思想・信条の自由を侵す重大な危険性があることから、国民の批判によって廃案に追い込まれた経過があります。
4度廃案に追い込むためには、この法案の危険性を知らせ、廃案の世論を広げることが急務です。