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「共謀罪」法案を通常国会提出へ 事件に関係ない人の人権までも侵害?

4度目の今回も廃案に追い込もう(1月23日付)

安倍首相は、犯罪計画を話し合うだけで処罰対象とする「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を、20日に召集された通常国会に提出する方針を示しています。

 「共謀罪」は、国民の強い批判で過去に3度も廃案となっているもので、今回は共謀罪を導入する組織犯罪処罰法改定案を、「テロ等準備罪」と名前を変えての法案提出です。昨年の臨時国会でTPP協定、年金カット法、カジノ法などを次々強行したことに続き、この法案も、なんとしても成立させようとする安倍政権の強権・暴走姿勢はあまりに異常です。

導入理由に道理なし

 政府は、共謀罪導入の理由に◇国際的なテロ犯罪の取り締まりの緊急性、◇国際機関から法整備を求められている、ことを挙げています。

 しかし、もともと「国際的な取り締まり」というのは、麻薬取引など国境を超えた犯罪の取り締まりを目指したもので、テロを直接の対象にしていません。テロの取り締まりについても、日本にはテロ資金提供処罰法など対応できる法律は既に複数あります。テロには殺人罪など刑法規定も適用されます。それらの法律の多くには、計画・準備段階でも処罰対象にする規定もあり、共謀罪がないと適用できないということはありません。

 国際機関からの法整備の要請も、「共謀罪」に当たる規定を一律に設けよ、ということではなく、国際的組織犯罪防止条約に適合した法的対応を求められているもので、各国の実情に応じた立法をすればいいわけです。

共謀罪の本質は?

 共謀罪の本質は、「犯罪を行うことを相談、計画した」というだけで処罰をするところにあります。政府は、資金準備など「準備行為」をしたという要件を新たに付け加えるから「相談、計画」だけで処罰をされることはないと説明します。しかし準備行為は極めてあいまいで、相談参加者の1人が「準備」をすれば適用されるとしています。これでは、他の「参加者」にとっては「準備行為をしなくても犯罪とされる」ことには変わりありません。「組織的犯罪に限定されている」といいますが、その組織も既成の組織だけでなく、その犯罪のためにつくられた集団(2人以上)も該当するとされています。どうにでも拡大解釈することは可能で、なんの限定にもならないのは明白です。 

歴史に逆行・

 冤罪多発の恐れも

 近代の刑罰法は、単なる発言だけでは、犯罪を実行するかどうかは不明のまま思想・信条を処罰する危険があるので、刑罰は犯罪行為が実行された場合のみを対象とする原則を確立してきました。共謀罪はこの流れに逆行します。

 また、「共謀」を犯罪行為とし、実行行為でなく相談・準備を取り締まることは、捜査方法としても盗聴やGPS利用など事件に関係のない人の人権までも侵害されかねません。密告が奨励され、冤罪を多発させる恐れも増大します。

 捜査機関の職権乱用などによって人権が侵害されるとして、日弁連からも反対論が強く、国会提出後は激しい議論になるでしょう。

 小手先の修正ではなく、4度目の今回も廃案へ。「戦争する国」づくりと一体で共謀罪導入を狙う安倍政権を許さないたたかいが今回も求められています。