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第14分科会ヘルスプロモーション活動による健康なまちづくり

地方自治研究集会感想 福祉衛生支部 山口浩(10月13日付)

10月1日~2日、茨城県つくば市で開催された第13回地方自治研究全国集会に参加し、2日目は第14分科会「ヘルスプロモーション活動による健康なまちづくり」に参加しました。

 分科会の助言者は、東京保健生活協同組合理事長の根岸京田医師で、「ヘルスプロモーションと地域包括ケアシステム」と題して話されました。

 根岸医師は、WHO(世界保健機構)憲章では『健康とは、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべて満たされた状態』、『人種、宗教、政治信条や経済的・社会的条件によって差別されることなく、最高水準の健康に恵まれることは、あらゆる人々にとっての基本的人権のひとつ』、『各国政府には自国民の健康に対する責任があり、その責任を果たすためには、十分な健康対策と社会的施策を行わなければなりません』と定義されている。また、ヘルスプロモーションとは、1986年にWHOが発表した『健康づくりのためのオタワ憲章』で新たな健康戦略として提唱したもので、オタワ憲章を提唱した中心人物であるイローナ・キックブッシュ氏は『ヘルスプロモーションの最大の敵は貧困であり、究極の目標は平和である』と述べていると紹介されました。そして、日本では当初、ヘルスプロモーションについて「健康増進」という狭い解釈がなされ、医療機関での理解も広がらず、その結果として『地域住民の健康づくりを行政が支援する』という印象が強いが、日本における健康格差は深刻で『個人の努力だけでは健康になれない』とさまざまな資料も示しながら問題点を指摘されました。

 また、地域包括ケアシステムについて『医療・介護・生活支援サービスの連携の課題』ということに矮小化すべきでなく、健康をキーワードにした『まちづくり』でありヘルスプロモーション活動に他ならなず、地域包括システムの構築が地域の各種サービスの有機的な統合だとすれば、ヘルスプロモーションはそれをさらに一歩進めた健康戦略であるとして、急速に進行する少子高齢化の中で、有効かつ公正で持続可能な医療・介護の提供システムを考える際、住民主体の『まちづくり』の視点が欠かせず、その視点はWHOが提唱したヘルスプロモーションであり、ヘルスプロモーションを生かした地域包括ケアシステムの構築には、医療機関の意識改革が必須として、昨年10月に結成された日本HPH(ヘルスプロモーティングホスピタル)ネットワークの意義と役割についても紹介されました。