さかい未来づくりサロンvol.6
風景のジャメビュとまなざしのデザイン
花村 周寛氏(大阪府立大学准教授)が講演
(6月11日付)
5月18日、堺市シティプロモーション認定事業のアドバイザーでもある花村周寛さん(大阪府立大学准教授)を講師にお迎えし、さかい未来づくりサロンVol6「風景のジャメビュとまなざしのデザイン」を開催し、庁内外から62名が参加し交流しました。
花村周寛さん(大阪府立大学准教授)は「ランドスケープアーティスト」「俳優」「風景異化研究者」という多彩な肩書をお持ちで、劇場、スタジオ、活版印刷工場など、雑多な機能が詰まったスペースでクリエイティブシェアを実践するブリコラージュ・ファウンデーション(BRF)という団体を主宰されています。
◆ジャメビュ
サロンでは、京阪なにわ橋駅の工事現場を舞台にしたランドスケープデザインや、大規模病院の吹き抜けを活用したインスタレーション「霧はれて光きたる春」(日本空間デザイン賞や日経新聞社賞)などの実例を紹介しながら、知らず知らずのうちに固定化してしまった人間の「まなざし」を解放し、人の持つ創造力のリミッターを外した上で、深いコミュニケーションをつくりだす、ジャメビュ(未視感=日常見なれたものを初めて見たと感じる感覚)について、わかりやすく語っていただきました。
◆「風景づくりに参加」
病院の事例では「ムダ・価値がない」と思われている吹き抜け空間を活用し、医療従事者と患者(与える者と与えられる者)という既存の「立場」を越えて、病院にいる全員が「見る人」となることで、深い共感が広がったこと、また、札幌のモエレ沼公園での「物語花火」では、そこに居る全ての人が「風景づくりに参加する」体験をすることによって、深化した思いを共有することができること、など「まなざし」を広げることで生まれる創造的可能性について紹介されました。
◆「心の進化」
既存の資源を「活かす」「再発見する」と再三言われるまちづくり分野においても、花村氏が提唱する「まなざしの転換」によって、既存の価値観をゆさぶることで、より深い創造性や可能性が生れるのではないかと強く感じました。また、社会のあり方を考える上においても「心の進化」を重視する花村氏が提唱する「生命表象学」をふまえ、固定化された既存の概念同士の対立ではなく、第三の道(オルタナティブな社会への可能性)を拓くことに繋がるのではないかという考え方に触れることができ、とても有意義な内容でした。
講演のあとのグループディスカッション、交流会でも官民の垣根を越えた新たなつながりが生まれ、議論と実践の輪が大きく広がりました。まさに堺の未来を拓く「未来づくりサロン」。次回もご期待ください。