堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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大阪府立大の統合・移転を考える

期限ありきでなく、十分な

議論を呼びかけます(7月29日付)

大阪府立大学大阪市立大学を2022年に統合することを目指すとする新聞記事が注目を集めています。この問題をみなさんと考えます。

二重行政だから統合?

 大阪府立大学大阪市立大学を統合して今春誕生した公立大学法人大阪の西澤理事長は、取材に対し、府大と市大を22年に統合し、大阪市森之宮地区に1・2回生の共通教育を行う都心キャンパスの新設を目指すと明らかにしました(読売新聞7月2日付夕刊)。

 両大学とも、日本最大級の総合公立大学として発展してきました。 府大の歴史は、1883年に設置された獣医学講習所までさかのぼります。現府大は、1949年に7つの専門学校が母体となり発足した浪速大学(旧大阪府立大学)、大阪女子大学、府立看護大学が合併して2005年に誕生。堺との関わりは深く、1925年に府立農学校が大仙町に移転。39年には大阪工業専門学校が中百舌鳥に開校、76年には大阪女子大学が大仙町に移転しています。

 一方、市大は1880年に設立された大阪商業講習所を源流とし、1928年に日本初の市立大学として大阪商科大学が発足。49年に新制市大となりました。

 そもそも、両大学統合のきっかけは、住民の声ではなく政治でした。2011年に都構想を掲げた橋下知事大阪市長に当選後、二重行政の解消のひとつとして取り上げたことがきっかけです。その後、法人統合議案が17年11月に府議会で可決、大阪市会で18年2月に可決し、今春から統合法人が発足しました。

中百舌鳥が売られる?

 18年2月の大阪市会で、吉村市長は「府大と市大の統合にあたってはキャンパスを集約し、森之宮が移転の有力な候補地」「同種の学部学科は集約を検討」「新キャンパスの建設費用は、既存キャンパスの土地の売却益等を財源とする」旨を答弁。

 この発言は波紋を広げ、「中百舌鳥キャンパス廃止・売却」の不安の声が広がりました。

 これに対し、松井大阪市長はデマと否定。一方で、府大と市大の統合は子どもの数の減少により不可欠とし、「中百舌鳥キャンパスは工学部の拠点」と述べました。吉村知事も同様に「中百舌鳥キャンパスに市大の工学部も移転させる」と強調。

 また、先の記事で西澤理事長は、1・2回生だけでなく「市大の文系学部移転」も検討すると述べており、府大も市大も、政治によって大幅な学部再編や移転が迫られる可能性が強まっています。

 統合のメリットについて、松井大阪市長は「学生数を増やし、スケールメリットをいかす」「少子化で統合やむなし」としていますが「大学が2つあるから二重行政」といった議論の域を出ず、政治や行財政改革の視点ばかりが目立ちます。

 そもそも他県では「愛知県立大学名古屋市立大学」「京都府立大学京都府立医科大学」など、公立大学の数が問題視されることはなく、また大学改革にあたっては、学生数を増やすことよりも、人材育成や地域貢献が議論されています。大阪のように政治目線が優先されることは特異な例であると言えます。

 毎年度、高い応募倍率が続く両大学。府民や市民が願うのは、二重行政解消のための統合か、両大学の充実か、期限ありきでなく十分な議論が必要です。