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咲洲庁舎をホテルに転用?

関西再生どころか負の橋下遺産(9月27日付)

大阪都心から離れた大阪市住之江区ベイエリアに位置し、空室が目立つ大阪府の第2庁舎「咲洲(さきしま)庁舎」について、府がホテルへの転用を検討していると報じられています。この問題について、改めて考えます。

報道によると、訪日外国人観光客の増加で大阪の宿泊施設が不足。その解消のためホテルへ転用します。庁舎周辺は現在、都市計画法で用途がオフィスや店舗に限られ、ホテルは対象外のため、府は用途制限緩和の手続きに入っています。

橋下氏が購入ゴリ押し

 咲洲庁舎は、WTCビルとして、大阪市が約1200億円投じて建設したものの、テナントが集まらず経営破たんしました。

 2008年、橋下徹府知事(当時)が「関西再生の光が見える」と、そのビルを購入のうえ、大阪府庁の全面移転を主張。

 しかし、当初から災害時の周辺土地の液状化やビルの耐震性などが懸念され、府議会では当時与党だった自民党会派からも多くが反対。庁舎移転は2度にわたり否決され、購入予算案も1度は否決されました。当時、自民党府議だった松井一郎氏(現府知事)らが購入を主導し、大阪維新の会の立上げのきっかけになりました。

 その後、大阪府が10年に約85億円で購入し、以降一部の部局が移転。 しかし、11年3月の東日本大震災時、震源から約770キロ離れているにもかかわらず、長周期地震動によって最大2・7m揺れ、天井や防火扉など約360カ所が破損、エレベーター全26基が停止し、5人が約5時間閉じ込められました。

 震災後、府は咲洲庁舎にダンパー約300台(25億円)を設置しました。しかし、内閣府が昨年12月、住之江区超高層ビル南海トラフ巨大地震で最大6m揺れるとの予測を公表したため、今年2月に専門家会合を設置し、さらなる耐震化策を検討していました。

 これまでの専門家会合では、南海トラフ巨大地震に伴う長周期地震動で、咲洲庁舎の最上階が、東日本大震災時の倍近い最大5m前後揺れる恐れがあると指摘されました。

 府は、ダンパー約270台を追加する補強案を施せば、国土交通省が今年6月に示した長周期地震動に関する新基準をクリアするとしていますが、追加設置費用は約18億円。抑制される揺れは32~42㎝にとどまります。

関西再生どころか

 15年度の決算見込みでは、咲洲庁舎の維持管理費支出約11億円に対し、テナント収入は約6億4500万円で、11年以降は支出が上回り続けています。

 仮に今後、ホテルに転用して府が目標とする稼働率80%を達成したとしても赤字解消の見通しはありません。

 橋下氏が強引に推し進めた咲洲庁舎への府庁移転。「関西再生」どころか、府財政の重荷となり、危機管理上も大問題です。

 大阪府職労が昨年度に行った府職員アンケートでも、府民の利便性については83・2%が「悪くなったと感じる」と答え、咲洲庁舎に勤務(出張〕して感じたことについては「不便」83・7%、「防災拠点にならない」65・1%、「地震の危険・不安があった」55・8%が上位を占めています。

 咲洲庁舎移転は職員にも府民にも何のメリットもありません。

 効率的な業務運営や府民の利便性向上のためにも、そして、大規模地震津波の際に府民のいのちを守る役割を発揮するためにも、咲洲庁舎からは全面撤退し、大手前に集約庁舎をつくるなど「二重庁舎」を解消することが求められています。