堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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2016人事院勧告・報告の内容 3年連続の月例給・一時金引上げ勧告

霞が関優遇、「地方」置き去り、生活実感に遠い低額勧告

政府・財界いいなりの配偶者手当見直し(8月10日付)

2016年人事院勧告に対して、自治労連日本自治体労働組合総連合)中央執行委員会が8月8日に発表した声明を、抜粋して掲載します。

 人事院は、8月8日、今年の国家公務員賃金について、官民格差(708円0・17%)に基づく月例給引き上げ、0・10月の一時金引き上げ勧告を行った。3年連続となる月例給・一時金ともの引上げは、春闘を起点にした公務・民間共同のたたかいの成果であり、「すべての労働者の賃上げで景気回復を」が、今や国民的なスローガンとなっていることの証である。同時にそれは、春闘の成果を公務員賃金、最低賃金につなげ、さらに翌年の賃上げへと結実させる「賃上げのサイクル」定着へのさらなる一歩となった。

地方を励ます

「みんなの賃上げ」が求められている

 しかしながら、初任給で1500円、若年層以外では400円という改定額は、公務労働者の生活改善どころか、地域経済の再生には到底結びつかない低水準のものと言わざるを得ない。さらに、昨年に続き、官民格差の3割を霞が関の職員だけを対象とする本府省業務調整手当の引上げに充てる一方で、地方や高齢層の職員の賃上げとなる「現給保障」額の引上げを見送った。

 地方の低賃金が改善されなければ、「経済の好循環」はさらに遠のくことになる。人事院は、非正規労働者を含む公務職場に働くすべての労働者の賃上げをすすめることを通じて、地方全体を励ますべきである。

職員の生活実態に沿った扶養手当等の維持・拡充を

 配偶者に係る扶養手当については、手当額を半減する一方で、それによる原資を用いた子に係る手当額の増額と併せ、激変緩和のため、来年度から段階的に実施するとした。

 配偶者の扶養手当の見直しは、職員の生活実態から見て不当な賃下げであるだけでなく、そのプロセスにおいても、昨年の勧告が、民間の実態からみて「見直す状況にない」としたものを、政府の要請を受け、突如、「民間企業及び公務における状況の変化」理由に行うとしたこと自体、認められるものではない。これに対し、全国の公務職場から、短期間のうちに団体署名など多数の反対の声を集中し、配偶者の扶養手当全廃を許さず、扶養手当全体の原資を確保したことは、職場要求に基づいた公務全体のとりくみの成果である。

均等原則に立った臨時・非常勤職員、再任用職員の処遇改善を

 臨時・非常勤職員の賃金については、今年もまた、「平成20年に発出した指針の内容に沿った処遇の確保」を繰り返し、俸給(給料)表改定の反映を除く改善は見送られた。16春闘期を通じて、労働力不足も反映した非正規労働者全体の処遇改善が前進したにもかかわらず「今や公務運営になくてはならない」と人事院も認めざるを得ない臨時・非常勤職員の処遇について、勤務環境改善を言うにとどまったことに強い憤りを禁じえない。同時に、組合側の強い要求であった再任用職員の処遇改善、とりわけ生活関連手当の支給も見送られた。

 賃金の地域間格差とともに、雇用形態による賃金格差は、極めて差別的である。「均等待遇」「同一価値労働同一賃金」の立場から積極的な改善がすすめられなければならない。

権利を行使できる人員体制の拡充こそ必要

 人事院は、育児や介護に関わる両立支援策の具体化として、今年の通常国会で成立した民間の法制度改正にそった国家公務員の育児休業法、勤務時間法の改正について、それぞれ意見の申出と勧告を行った。これらは、社会的な要請だけでなく、職場の切実な要求に基づく運動の成果である。同時に、そうした権利を実際に行使できるかどうかは、人員体制にかかっているのが現実である。

公務・民間、そして市民運動とも連携進め、引き続き全力を

 自治労連は、これまでの到達点の上に立ち、引き続き、公務・民間、そして市民運動とも連携を進め、臨時・非常勤職員の大幅賃上げ、全国一律最賃制度実現、公契約条例制定など賃金底上げの大きなうねりをつくりだすなかで、地域再生に結びつく公務員賃金改善の運動に、引き続き全力を尽くすものである。