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大阪市総合区設置素案発表

上からの押しつけでなく市民要求にどう応えるか(8月4日付)

府・大阪市共同設置の「副首都推進本部」(本部長

松井一郎知事、副本部長=吉村洋文大阪市長)が7月22日、府庁内で第4回会議を開き、大阪市の24行政区を合区して権限を強める「総合区(※注)」の素案を発表しました。

「都」構想復活狙い

 「副首都推進本部」は松井知事(大阪維新の会代表)と吉村市長(同政調会長)が昨年5月の住民投票で否決された「大阪都」構想を、「大阪の副首都化」の名で復活させるために設置したもの。

 「総合区」は公明党が積極的に検討していることを捉えて、松井氏らは「大阪都」構想の対案のように扱い、推進本部の事務を担う「副首都推進局」の所管事項とし、「総合区」の案をつくるよう指示していました。

 素案では、現在の24行政区を合区して「総合区」を置き、①5区(1区当たり人口45万人程度)②8区(同30万人程度)③11区(同20万人程度)の3つの区割りを設定。

 総合区が担う事務については(A案)現在の行政区の事務に道路や公園の維持管理など一部を移す、(B案)市立保育所などが設置できる一般市並み、(C案)児童養護施設などの設置認可を加えた中核市並みの3案に分類。

 それぞれを掛け合わせた9案のうち職員数の増減が少ないとして、5区で「一般市並み」と「中核市並み」、8区で「ほぼ現行の行政区並み」と「一般市並み」、11区で「ほぼ現行の行政区並み」の5案を示しています。

否決されたはずなのに 松井知事、吉村市長らが出席した会議では、8月末から大阪市内全行政区で開く「住民説明会」で使う資料も示されました。「総合区」の素案だけでなく、大阪市廃止が前提の「特別区」と比較するために、昨年5月17日に、住民投票で否決され廃案になった「特別区設置協定書」等を使った資料も含まれています。

 会議で吉村市長は「いまの(大阪市の)現状でいいのか、問題意識をもってもらうことが大事」と発言。松井知事は「(特別区と異なり)総合区は区長の判断で保育所は設置できない。そこを丁寧に説明しないといけない」と語りました。

「総合区」か「特別区

 終了後の記者会見で松井知事は「総合区がいいのか、特別区がいいのか、両方住民投票で決めてほしいと思う」と述べ、次期統一地方選挙前の2018年秋までに住民投票を実施する考えを示しました。 松井氏は、仮に総合区が多数になった場合でも、「総合区は特別区へのステップ」だとして将来的に「都」構想の実現を目指す考えです。どちらの制度を導入しても、24行政区が存在する今の大阪市の枠組は残りません。

※注・総合区 2014年の自治法改正(ことし4月施行)に伴い、政令市が現行の行政区に代えて新たに設置できるようになったもの。行政区長が一般職なのに対し、総合区長は市議会の合意を得て選ばれる特別職に格上げし、総合区域内のまちづくりの権限や人事権などを持つようになります。

役所の押しつけでは

 「素案は、合区が前提になっています。住民自治の観点から、大阪市がどうあるべきかを考えないといけないのに、役所が上から案を出し、市民が置き去りにされている」との指摘もあります。

 地域課題や、市民要求に対し、行政がどう応えるのか、その議論こそ重要です。