全労連が声明発表
(7月1日付)
「労働者派遣法改正案」が6月19日、衆議院厚生労働委員会での強行採決に続き、本会議に緊急上程されて可決、参議院に送付されました。
当事者である派遣労働者や労働組合らの強い反対の声を押し切り、採決が強行されたことに対し、「全国労働組合総連合」は声明を発表しました。
第一に指摘すべきは、審議状況からはとうてい採決する状況になかったということである。同法案は、いわゆる10・1ペーパー問題の発覚などで委員会での審議入り冒頭から委員長職権による開催という状況に陥り、答弁の不十分さや漏れた年金情報問題などもあって度々審議中断になるなど、不正常な委員会運営が続いた。法案の中身からみても落ち着いた審議時間は確保されていない。本日の採決は議会運営の点からも許されるものではない。
第二に指摘すべきは、短時間の審議のなかでも法案の重大な問題点が明らかになり、徹底審議が求められていたということである。派遣期間の制限が事実上撤廃されることで正規・直接雇用から労働者派遣への置き換えが大々的にすすみかねないこと、つまり、正社員ゼロ・生涯ハケン法案にほかならないことや、労働契約みなし制度の10月発動を防ぎ、期間制限違反等の違法企業を免罪する黒いねらいなどが明らかにされた。低賃金の使い捨て労働をあたり前にする雇用のあり方の大改悪にほかならず、徹底審議のうえで廃案にすべきものである。
第三は、採決強行に際して、与党と維新の党利党略の取引でさらなる改悪の上塗りがされたことである。つまり、修正した「同一労働同一賃金」法案がなんの審議もなく、自公と維新の賛成で可決されたが、同法案は、もともと民主・維新・生活の三党提出だった。それを維新と自公が勝手に修正し、「正規労働者」を「通常の労働者」に書き替え、「均等」にくわえ「均衡」処遇を書き込むなどした修正案で採決された。そのため、原案でも実効性が薄かったものが完全な骨抜きとなり、かえって差別・区別に免罪符を与えかねないものとなった。このようなことが採決のどさくさにやられたことは大問題であり、派遣労働者のことを完全に脇に置くものとして批判されねばならない。
第四は、衆院段階で強行を許したとはいえ、批判の世論と運動が拡がり、衆院段階の採決が大幅に遅れたこと、戦争法案の対峙も考えれば、廃案が可能な情勢がうまれてきていることである。特に同法案の場合には9月施行とされており、成立後に労政審等で政令を通す必要があること等を考えれば残された時間はわずかしかない。周知期間からいえば本来時間切れのはずである。
全労連は、戦争法案許さない国民的な課題などとも結んで、派遣労働者や労働組合などとの共同をいっそう強化しながら、廃案を求めてたたかいを更に力を集中し強化していく。