堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

堺市職労(堺市職員労働組合)ブログです。

残業代ゼロの報告書案

導入要件をさらに緩和

無制限に働かせてOK

(2月13日付)

 労働時間ルールのあり方を検討する労働政策審議会労働条件分科会が2月6日に開かれ、事務局から報告書案が示されました。残業代ゼロ制度や、裁量労働制の拡大など使用者側の主張が盛り込まれた一方で、労働時間の上限規制など働き過ぎ防止策については「結論を得るに至らなかった」と明記。労働側は「全体として大変残念な内容」と厳しく批判しました。

 残業代ゼロ制度の年収要件については、骨子案では省令で定めるとしていましたが、報告書案では「平均給与額の3倍を相当程度上回る者」などの文言を法律に明記するとしました。村山誠労働条件政策課長は「勤労統計調査などに基づいて計算すると、平均給与額の3倍は約940万円になる」と説明。

 導入要件のうち、労働時間の上限規制が1カ月単位から3カ月単位まで延長された点や、本人同意を得る方法に「署名等」と幅を持たせた点など、使用者側の主張に沿って要件が緩和された箇所もあります。

年休は骨子案より後退

 働き過ぎ防止策として、使用者に課す年休の時季指定義務日数は、年5日としました。年休付与日数が10日以上の全労働者を対象とし、使用者に年休の時季指定を義務付ける規定。

 骨子案では、一定割合の年休日数(例えば7割)を取得していない労働者に対して使用者の時季指定を義務付けるとしていました。報告書案ではこの部分が削られ、年5日以上の年休が取得されていれば、使用者は時季指定義務から解放されるとしました。

長時間労働防止後退

 報告書案は、過労死促進との批判を避けるため、「健康管理時間に基づく健康・福祉確保措置」を講じるとし、使用者に労働時間の把握を求めていますが、把握後の取組として骨子案に示された「長時間労働防止措置」という文言が削られ、「健康・福祉確保措置」(左表内参照)と書き換えられました。

 「健康・福祉確保措置」も、①~③のいずれか一つの措置を講じればいいため、①の一定時間の休息を与えれば、労働時間の制限も休日の確保も必要ありません。あるいは、③の休日確保を講じれば、休息を与えずに、時間を気にせず無制限に働かせることができます。

 また、①②の「一定の時間」とは法律ではなく省令で決めるため、いつでも改悪可能。③についても年間52週で完全週休2日制の日数でしかなく、祝日すら含まれていません。

閣議決定ありきに疑問

 岩村正彦分科会長は、終了間際になって「今回の報告書の前文で閣議決定について言及してはどうか」と提案。

 使用者側委員は「特に依存はない」としましたが、労働側委員からは「産業競争力会議など労働者の代表が一人も入っていない会議で議論された内容が閣議決定され、それに基づいて公労使の三者構成で行われるべき労働政策審議会が進められている枠組み自体に違和感がある」と述べ、反対。同会長は「特にこだわりはない」とし、提案を撤回しました。

 事務局は、本日(2月13日)予定の分科会で、報告書をまとめたい意向です。