堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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連載・阪神淡路大震災から20年③

~住民参加の復興へ、新しい歩み~

(1月19日付)

 1月6日、震災後20年を迎える西宮市香櫨園小学校区を、上下水道局維持管理課・池側将司、組合書記局・丹野優で取材しました。

人口増加の西宮市

 ピアノ・チェンバロ調律所を営む安田さんは、20年前、地域の体育振興会役員をされていたことで、西宮市内最大の避難所となり、堺市職労が支援活動を行った香櫨園小学校で「ナチュラルリーダー」を担うことになった(なってしまった?)のです。混乱を極める中、一被災者である民間人の安田さんに重要な判断が次々に求められ、市職労役員が小学校を探し出し、支援を申し出たとき「必要なもの?私の代わりが要るんです!」と厳しく答えられた安田さんの切実なお話が以降35日間にわたる支援活動のきっかけともいえます。

 現在62歳の安田さんは、「あの時はほんとに厳しい表情でしたね」という話になると「家族にも言われてた」と笑います。現在は自治会副会長の安田さん、「絶対に手を挙げない(笑)けど、誰かがやらなければならんのなら引き受ける」という精神は今も健在です。

 今回、安田さんに加えて、香櫨園小学校の稲森教頭先生のご協力で校舎見学もさせていただきました。「香櫨園は人口が増えていて、生徒数も増加傾向。現在940名ですが、新年度970名となり、プレハブ校舎を建て増ししているんです」と先生。避難場所だった体育館には卒業生の名前と一緒に、当時亡くなられた6名の児童の名前がプレートに刻まれており、思わず手を合わせました。

 安田さんとともに現在の街の姿を案内していただいたのは、香櫨園森具地区にお住いで現在西宮市議会議員(当時は一被災住民)の木村さん(一級建築士)と浜脇中学校元PTA会長の竹中さん。

木村さんは「西宮市の人口は、震災前42万人。震災後39万人まで減りましたが、今は49万人に迫る勢いです。もともと大きな家に高齢者が住んでいた跡に分譲住宅ができたり、大きなテニスコートの跡にマンションがたくさんできて若い世帯が増えています」と言います。

香櫨園最大の被害~森具地区~

 案内された香櫨園森具地区は西宮市南部市街地の西端に位置し、北は国道2号、南は国道43号に隣接し、阪神電鉄香櫨園駅の北側に位置する面積約10・5ヘクタールの地区です。

震災前の世帯数は約830世帯、人口は1840人でした。

 大震災による被害は、全半壊棟数338棟(全棟数の67・7%)、死亡者数は43名と甚大でした。

 中でも地区の中心部に位置する屋敷町の大震災前の状況は、幅員2・7m未満の道路率約33%、2・7から4m未満の道路率約23%、接道不適格住宅約62%、老朽住宅率約57%、宅地規模90㎡以下の小規模宅地率約50%と、「狭隘な道路と建て詰まり」など防災上課題を抱えながらも魅力ある街並みが形成されている地区でした。

 昭和59(1984)年に定められた「老朽過密住宅地区の住環境改善を幹線道路の整備とあわせて推進する」とした市の都市再開発方針に基づく整備案を、平成6(1994)年に検討しましたが、未着手のまま大震災に遭遇し、香櫨園地区最大の被害となったのです。

住民、協議会、市の協働による復興

 震災があった年の11年3月には「森具の区画整理を考える会」や「屋敷町自治区画整理対策委員会」が発足、5月には「森具地区まちづくり協議会」が発足しました。

 木村さんは当時の状況を「住民がまちづくり勉強会を重ね、がんばって下からの意見を上げていったのです。市役所も結構動いてくれましたね」と振り返ります。上(役所)からの押し付けではなく、住民の議論や検討を行政がサポートし、市が「住民側の計画案ができるまで計画の具体化は待つことをきめた」という協働体制は「市が協議会にまちづくりコンサルタントを紹介し、提案作成活動を支援した」ところにも表れています。住民の勉強会は13回、毎回50人程度が参加しました。

 木村さんが森具地区の建物の被害状況(当時)と現在の建物の状況を比較できる資料を提供してくれました。比較すると道路も広くなり建物の配置も大きく違うことがわかります。中心部に公園もできました。

コミュニティが一番大事

 平成12(2000)年に「地区復興セレモニー」も開催され、整備された街並みは新しい街に生まれ変わったかのようですが、それは街並みだけではなくコミュニティづくりにも言えるようです。

 協議会が解散した同年から自主防災組織づくりが始まっていますが、協議会などでの議論を通じて住民みんなでつくりあげるまちづくりの大切さと早期住宅再建を望む切実な住民の気持ちとの交錯の中で、粘り強くすすめてこられたご苦労が伝わってきます。

 木村さんは「やはりコミュニティが一番大事」と強調、その上で「自分の身に降りかかったときにどうするか、をみんなが考えて心構えをすることが大切」と語ります。

 一方、コミュニティという点では借り上げ復興公営住宅の明け渡し問題やまちづくりの新たな課題もあります。

 今後も、協議会などでの住民参加と自治の経験をいかしてほしい、と思いました。