堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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市民課窓口業務委託問題

業務委託が市民サービス向上につながるのか (8月8・11日付け)

 本紙3月5日既報の市民課業務の民間委託問題は、この間、平成27年2月から西区役所市民課窓口業務委託をモデル実施したいとの申入れに対し、市民支部から当該部局に「市民課業務のよりよいあり方や必要な人員体制の確保についての要求書」を提出。

 5月21日、7月7日に続き、7月14日には市民人権局長及び西区区長出席のもと支部交渉を行いました。

主なやり取り

○業務委託の趣旨

【当局】①市民サービスの向上。柔軟な人員体制の確保、委託業者と職員による二重チェックによる更なる正確性の確保、職務におけるノウハウを持った職員の人事異動による影響を少なくできる。サービス向上が図れるよう最大限努力。

②委託業者を指揮監督することになるので、職員にマネジメント能力が要求され、モチベーション向上、意識改革が行われ、よりレベルアップにつながる。

③委託は組織として行う。問題を生じないよう細心の注意を払い、責任を持ちすすめる。

④委託に対する法務省総務省及び内閣府との通知内容の違いは認識。法令順守し対応する。

⑤法的な問題が発生した場合や、市民サービス向上が図れない場合は、モデル実施のため、直営に戻すことも否定しない。職場の意見を反映させ、対応する。

 交渉団は、今回の業務委託が市民サービス向上につながるとは思えないとして、以下の問題点を指摘。

①市民課窓口の調査(市民の待ち時間や、組織のあり方、区役所間での比較、近隣市や政令市との比較)が現時点でされていない。

②市民サービスの何を向上させるのか。窓口職場では、待ち時間をはじめ、近隣市や他の政令市に劣るサービスはない、むしろ優れていると自負しているが、業者との二重業務発生により、待ち時間が長くなり、市民サービス後退が予想される。 

③職員が良かれと思い、委託業者に直接指示すれば、偽装請負となる。委託業者と職員が同じ執務室で業務を行うと偽装請負のリスクが高くなる事は明らか。

④また、補助業務や、判断業務についても、法的矛盾や所管の考え方等微妙な差異がある。⑤職員の働きがいややりがいの確保、区役所としての応援体制の確立も重要、と指摘し、このような状況から今回委託を実施する理由が何ら見当たらない、

実施するリスクの方が大きい、安易にすすめるべきではないと指摘。

 しかし、当局はそれでも委託をすすめなければならないとして、「この問題は、窓口業務の転換点と考えている。指摘を受けていることについて共有できるが、責任は当局にあり、職場の意見を聞きながら、すすめて行きたい」「危惧されている偽装請負は、組織として対応。個人責任を問うものであってはならない」と言明。

 交渉団は改めて、労働組合として委託について容認できるものではないと述べた上で、「今回の業務委託を西区市民課だけの問題とすべきでない。当局として、組合側の指摘した課題を含め共有を」「他の自治体でも起こっており、市民サービス低下や、法的な問題が発生する可能性が非常に高い」「そうした事態になれば直営に戻すことを約束してもらいたい」と求めました。

 当局は、「今回の市民課業務委託については、西区以外の区とも情報共有しているし、西区役所としても対応を考える」「偽装請負等の法的問題が発生した場合や、市民サービスの低下が恒常的、継続的にあった場合、今回の委託は、モデル実施の為、直営に戻すことを否定するものではない」と強調しました。

 こうしたやり取りを受け、交渉団は最後に、安心して、働ける職場環境をしっかり構築することを求め、交渉を区切りました。