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消費税増税分「すべて社会保障に」は本当か

大半は財源を置き換え

(4月14日付)

 「(消費税の)増収分5兆円は、すべて子育て・医療・介護・年金といった社会保障のために使われます」といって財源が確保されたり、充実するかのように、連日テレビなどで宣伝している政府広報を改めて検証します。

 増税分5兆円の「使途」のうち8割以上を占めるのが、「年金国庫負担分2分の1の恒久化」と「既存の社会保障の安定財源確保」です。これはすでに実施している分の財源を消費税に置き換えただけです。

 一方、社会保障「充実」として、「子育て支援」に約0・3兆円、「医療・介護等の支援」に0・2兆円を充てるとしています。

 しかし、「支援」の名で行おうとしているのは、保育士資格規制緩和を伴う保育の量的拡大や急性期病床数の削減など制度改悪が中心です。

 その他0・2兆円は、消費税による「社会保障支出の増加分」への対応で診療報酬などを引き上げるもので、充当して当然のものです。

 年金国庫負担(2・95兆円)は、年金課税の強化(04年)と所得税・住民税の定率減税の縮減・廃止(06~07年)で財源を確保してきた経過があります。その財源を消費税に付け替えるのは、この経過をを無視したものです。

「既存の社会保障の安定財源確保(1・3兆円)」について政府広報は「次世代への付け回し軽減」などと財源がないかのように説明しています。しかし、今でも社会保障の財源は消費税も含めた一般財源で確保されています。「付け回し軽減」とは、財源を消費税に置き換える口実にすぎません。

 こうやって既存の社会保障財源を消費税増収分に置き換えれば、浮いた分は他の財源に回せます。安倍内閣は震災復興増税の企業負担廃止など大企業減税やムダな公共事業、軍事費のバラマキを進めています。「すべて社会保障に」というのは、でたらめです。

 さらに安倍内閣は、今後、3兆5450億円にものぼる社会保障の負担増・給付減を計画(左表)。これが実施されると、10%への消費税増税時に社会保障「充実」に回るとしている2兆8千億円も吹き飛んでしまいます。