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知る権利・プライバシーを侵害

特定秘密保護法案成立の阻止を

(10月31日付)

 政府は10月25日、「特定秘密の保護に関する法律案(特定秘密保護法案)」を閣議決定し、国会に提出しました。安倍首相は同日の衆議院本会議で「早期成立に努める」と表明し、今国会での成立に意欲を示しました。

 自民党は、この法案の目的を国家安全保障会議(日本版NSC)の創設にあわせ、「特定秘密制度」を整備し、日本の安全保障に関する情報などを保護することと発表しています。

 9月に公表された法案概要にいくつか修正が加えられた法案では、①防衛、②外交、③特定有害活動の防止、④テロ活動防止の4分野に関する事項のうち、漏えいすると日本の安全保障に著しい支障を与える恐れがある機密を「特定機密」に指定し、保護するとし、情報を漏らした者には最大で10年の罰則が科せられます。

「知る権利」に配慮?

 9月に実施されたパブリックコメント(9万件)では8割近くが反対を占め、反対意見の多くは、国民の知る権利や報道の自由を懸念するものです。こうした意見を考慮し、政府は条文を修正しました。

 報道・取材の自由に対しては、「十分に配慮しなければならない」とし、罰則対象となる取材を「著しく不当な方法によるもの」とするなどの修正や表現の追加しました。しかし、「十分な配慮」とは何か、「不当」な取材とは何かなど、判断基準があいまいなままです。

 また、秘密の有効期限を「上限5年」としていますが、大臣など行政機関のトップの判断で無限に更新でき、その間、重要情報が国民には知らされなくなります。

 アメリカでは、政府は国民のものであり、国民は政府が持つすべての情報について知る権利を有することが大前提で、その上で安全保障など機密を要する情報の取り扱いが議論されていますが、日本ではどちらかというと、国民に対して、必要に応じて情報を公開してよいという立場で知る権利がないがしろにされる状況にあります。

プライバシー侵害!

 「秘密」を取り扱う人は「適正評価制度」の対象になり、公務員はもちろんのこと契約業者の社員そして、その家族を含め調査されます。調査は「本人同意を得る」としていますが、事実上強制であり、プライバシーへの重大な侵害です。

 成立を急ぐ背景には日本に提供した秘密情報の漏えいを懸念するアメリカの意向があります。決して、国民が求めているわけではありません。

 特定秘密保護法案をめぐっては、10月26・27日の世論調査でも反対が50・6%(賛成は35・9%)と過半数。今国会にこだわらず、慎重審議を求める意見は82・7%に達しています(共同通信)。

 国民の権利を不当に制限し、政府の判断で秘密が際限なく広がるこの法案は阻止しなければなりません。