狙いはもの言えぬ職場づくり・住民サービス切り捨てに従順な職員づくり
(10月9日付)
10月4日、松井知事が府議会上程を狙う政治活動制限・労使関係条例(以下「2条例」という)の制定を許さず、憲法を仕事・職場にいかす学習決起集会(大阪公務共闘・府労組連主催)が開催され、堺市職労の2名を含む125名が参加しました。
公務員の権利闘争をめぐる現局面と展望についての記念講演で、加藤健次氏(弁護士:国公法弾圧事件弁護団)は、政党機関紙の配布が国家公務員法の禁止する政治的行為に当たるとして起訴された国公法弾圧事件で、昨年12月7日、最高裁が堀越明夫さんを無罪とした判決の意義を話しました。
この判決は、公務員の政治活動の自由を認めた画期的な判決であり「思想信条の自由、表現の自由という基本的人権の核心に強く配慮した判決」(毎日新聞)として高く評価されています。
最高裁は、政治的行為の制限を定めた国家公務員法第102条第1項は、公務員の政治的中立性ではなく、「公務員の職務の遂行の政治的中立性」を保持することによって行政の中立的運営を確保し、これに対する国民の信頼を維持することを目的としているという解釈を示した上で、「政治的行為」とは職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが、観念的なものにとどまらず、現実的に起こりうるものとして実質的に認められるものと限定しています。
加藤氏は、大阪府が上程を検討している政治活動制限条例について、①国公法・人事院規則はそのままでは使いものにならない「欠陥法」であること、②問題となるのは「職務遂行上の政治的中立性の確保」であって、公務員の政治活動の自由ではないことを指摘。 また、労使関係条例についても、①交渉事項の不当な制限、②労使対等原則からの逸脱、③労働組合への介入など、労使関係というものを理解できていないと厳しく批判しました。
9月30日、大阪府議会で3度にわたり継続審議となっている2条例について質問された松井知事は、「府職員は公務員である立場をしっかり踏まえた対応をしている」としながら、「問題事案の未然防止の観点から制定する必要がある」と答弁しました。
すでに条例が制定された大阪市では、トップダウンの徹底や職員の管理強化が徹底され、住民の要望を聞くことや懇談さえも許されない状況となっています。
2条例の真の狙いは、職員の政治的自由の制限により職員を思考停止状態に陥らせ、労働組合が職場の状況や職員の声に基づいた意見交換すら禁止し、職員を「忠実なしもべ」にさせ、徹底したトップダウン組織を完遂させることです。
憲法改悪を先取りし、自治体を戦前のような「国の下部機関」へと変質させ、人間の尊厳、職員の自由と権利を奪う、全く道理のない2条例の制定を許さない世論と運動をつくるため、堺市職労も大阪府職労と共同して全力をあげます。