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平成23年度労働経済白書を読む①

見直される長期雇用慣行と定期昇給

業績・成果給を拡大する企業割合は低下

(8月8日付)

 平成23年労働経済白書は、第3章において、近年の雇用管理の動向と今後の方向性について分析しています。2回に分けて報告します。

 白書は、1990年代、厳しい経営環境のもと、長期勤続を前提とする賃金・処遇制度に批判的な論調が強まったが、企業の人材育成に関する考え方の根本的な転換が生じ、長期勤続を基本とする雇用慣行と定期昇給という、雇用管理で相互関連する2つの事柄が評価されているとしています。

業績・成果給を拡大する企業割合は低下

 賃金制度は、①90年代以降、業績・成果主義が取り入れられ、特に従業員3百人以上の大企業については、96年から04年にかけて、業績・成果給を拡大する企業割合に上昇が見られますが、その後07年には低下に転じ、10年の低下はさらに大きくなっています。

 この点について、白書は、①バブル崩壊以降の厳しい経営環境を受けて進められてきた賃金・処遇制度の改革は、短期的な業績・成果の獲得を求め、人材育成やチームワークなど優れた雇用管理に不可欠な要素を十分に検討視野に収めていなかったものと考えられ、今、改めて、その修復が必要になっていること、②職務遂行能力や役割を職業生活のそれぞれの段階に応じて用いていくことは、労働者一人ひとりの意欲や能力を引き出していく上で大切であり、労働関係の個別化に対応する手段は、かならずしも業績・成果主義だけではないと分析しています。

 その上で、個人の仕事の短期的な成果や業績を賃金に反映することは、今まで大きく高まってきたが、今後は低下するものとみられ、今後の賃金決定要素としては、職務を遂行する能力を基本としながら、『職位に期待される複数の職務群の遂行状況』『中長期的な企業に対する貢献の蓄積』などが重視されていくと考えられるとしています。(続く)