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経団連が「経労委報告」を発表 コロナ禍を口実とした賃上げ否定、労働法制の規制緩和を許すな

2月3日付

  1月19日、経団連は経営側の21春闘の指針となる「2021年版経営労働政策特別委員会報告」(以下、経労委報告)を発表しました。

 

コロナ禍を口実に
賃金引上げを否定
 報告では、コロナ禍によって先行き不透明感が一層強まっているとして、自社の支払い能力ありきの「賃金決定の大原則」を重要としています。そして、「業種横並びや各社一律の賃上げは現実的でない」とし、春闘の「横並び賃金引上げ」を否定。個別企業の「総額人件費」管理徹底を強調しています。同時に、業績・成果等による査定配分、事業継続と雇用維持が最優先と強調。労働者・国民の生活を顧みず、賃金引き上げの企業としての社会的な責任をまったく果たそうとしない身勝手な姿勢です。


非正規労働者の厳しい実態に触れず責任回避
 コロナ禍の雇用は、「リーマンショック時に比べ、失業率は低水準にとどまり、社会不安は相当程度抑えられてきた」として、実際にリストラされ生活破綻に追い込まれる多くの非正規労働者や女性労働者の厳しい実態には全く触れず責任回避する姿勢です。デジタル化が、農業・介護・医療・建設などの人手不足の業種での救世主であるかのごとく多言されています。しかし、真の原因である、賃金をはじめとした劣悪な労働環境の改善には言及していません。


労働者保護法制の
規制緩和に狙い
 労働時間法制に関わっては、コロナ禍に便乗し、より自律的な働き方、成果重視など、労働法制の見直しを求めています。裁量労働制の対象拡大やテレワークなど柔軟な働き方と称し、一気に規制緩和を行い労働者保護法制の改悪を狙っています。 特に、副業・兼業、テレワークなどでは、労働時間の概念を外し、時間外勤務の割増分どころか本来払うべき賃金すら支払わなくても良い制度をつくろうとする意図を見逃すわけにはいきません。

最低賃金
引き上げをけん制
 最低賃金について、20年度の審議で使用者側が「(コロナ禍で)引き上げはあり得ないことを強く主張した」ことを明らかにし、引き上げを据え置いた結果を「きわめて現実的な判断」と評価。続くコロナ禍の経済状況と今年度予定されている目安制度のあり方検討を意識し、「最低賃金に限らず、賃金引上げは、政府の引き上げ方針ありきでなく、自社の支払い能力に応じ、適正に実施するものである」と繰り返しけん制しています。


内部留保を還元し
大企業の社会的責任を
 コロナ禍でも大企業の内部留保は増え続け、「459兆円」に達しています。報告では、「ポストコロナを見据えた将来への投資」と述べ、さらなる貯め込みを促しました。コロナ禍の深刻な雇用・失業危機に直面する労働者の緊迫した実態と相いれないものです。いまこそ内部留保を労働者の賃上げ・底上げや中小企業単価引き上げなどに還元すべきです。
 21国民春闘で大幅な賃金引上げ・底上げ、均等待遇や最低賃金の全国一律1500円などの実現で、格差をなくし、8時間働けば誰もが人間らしくくらせる公正な社会への転換。地域経済の活性化と合わせ、その実現のために、コロナ禍だからこそ大企業の社会的責任を果たすよう強く求めましょう。