交渉団「具体策提示を」
当局「課題整理し改めて協議したい」(7月15日付)
7月13日、堺教組とともに、第2回定年引上げ交渉を行い、当局の基本認識を質しました。
第2回交渉は、前回6月29日の提案交渉を受け、当局の基本的な認識を追及しました。
冒頭、団体交渉に臨む当局の基本姿勢として「自主交渉・自主解決の立場」「労使合意に向けて努力」「使用者責任を果たす立場」を改めて確認しました。
【7割水準】
定年引上げ後の給与水準が60歳前の7割水準との提案の根拠について当局は、国の見解(7月1日付参照)を基にしたと述べました。
また、給与決定原則である「均衡の原則」「職務給の原則」「情勢適応の原則」に照らし、国に準ずることが適当としました。
組合 当局提案は、「仕事は10割、賃金は7割」というもので、職務給の原則に反する。不当である。
当局 職務給の原則は「職務と責任に応じ」るものだが、同一の職務の級でも給与には幅がある。また民間企業の実情から当面の間の制度として設計されたものであり、職務給の原則に反しない。
組合 それでは「経験の浅い者」として仕事をすればよいとも聞こえるが、職場では「経験を活かして」業務遂行が求められる。夏季アンケートでも「7割水準は不当だ」との声が上がっており、納得できない。
組合 給料月額が定年前の7割。例えば、住宅ローンを借りている方は、退職金をもらうため、60歳退職に追い込まれるのではないか。退職者は短時間しか選択できない。どちらも厳しい選択である。
当局 確かに、職員の皆さんの住宅ローンの返済など、人生設計に影響があることも否定できない。使用者責任を果たす立場として重く受け止めている。
組合 それなら退職金を60歳時点で一旦精算する制度は設けられないのか。
当局 退職手当の性質上、退職する際に支給するものであるため、定年引上げを選択した職員に、60歳の時点で退職手当を支給することは困難。
【定年引上げと再任用】
定年引上げ者と再任用職員の職務について当局は「再任用職員は一定範囲の業務に従事する」が、「定年引上げ者は所属が所掌する全ての業務が従事対象。これまで通り人事異動の対象となり、期間の定めのない任用である」としています。
組合 当局は違いを強調するが、職場では再任用と現役の違いなく、業務に従事している実態。再任用賃金改善の提案(1級で月額5400円(7月4日付参照))はされたが、さらに引き上げるべき。
当局 「同一の業務」という実態があれば、整理が必要と考える。
組合 「実態を踏まえさらに賃金改善を」と求めたら、「業務整理したい」という答え。職場を分断するような整理は認められない。
【定年引上げポスト】
定年引上げ者の配置ポストについて当局は、ポスト整理を行う場合、再任用ポストを業務整理するとしています。
組合 これまで役職ポストの整理が行われてきたため、主幹や主査といったスタッフ職が配置されていない職場も珍しくない。係員の横に急に主幹が座って何を担ってもらうのか。この交渉期に体制や業務内容の整理について具体策の提示を。
当局 それぞれの職場でモチベーションを維持して働いていただくために、職の整理が重要。示す必要がある。
また、こども園など高齢により職務遂行に支障をきたす恐れがある業務の職務内容の軽減の具体策についても当局は「示す必要がある」との認識を表明しました。
【使用者責任】
組合 当局提案では「55歳から65歳まで昇給がない」「60歳になったら賃金は7割」「しかし仕事は10割やってもらわなあかん」となっている。果たして「長く働こう」という制度になっているのか。
当局 退職手当の支給時期が延びること、7割水準で賃金面で人生設計に影響を与えることは重く受け止めている。また、高齢となっても意欲をもって働いていただきたいと考えているが、加齢により体力面に支障が出ることで、業務に支障が生じるなど、人事管理のあり方も課題。
定年引上げ後も、モチベーションや働きがいを持って、職員の皆さんに働いていただくために、何ができるか検討していきたい。
最後に林田委員長から「本日交渉を行ったが、私たちの要求を踏まえた追加提案が当局からは示されていない」「現在の状況では労使合意できない」ことを本日の双方の認識として確認し、交渉を区切りました。