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大阪市の「思想調査」アンケートは不当労働行為~府労委が断じる

争う姿勢の橋下大阪市長を世論と運動で包囲しよう (3月27日付)  大阪府労働委員会(府労委)は25日、大阪市が職員3万人余りを対象に実施した労働組合・政治活動の実態を調べるアンケートについて、「市による組合に対する支配介入に当たる」として市の不当労働行為と断じました。 思想調査アンケートをめぐる経過  「思想調査」アンケートは、大阪市が2012年2月9~16日に実施。組合活動への参加の有無や、特定の政治家を応援する活動経験の有無、さらには誰に加入を誘われたか、投票を呼び掛けた人は誰かなどを問うという、憲法に保障された「団結権」や「思想信条の自由」を踏みにじるものでした。  あわせて橋下大阪市長の署名入り文書で、「任意の調査ではなく、市長の業務命令」「正確な回答がなされない場合には処分の対象となり得る」などと脅して、職員に回答を求めました。 大阪市の「不当労働行為」を断罪  大阪市役所労働組合として、昨年2月に府労委に救済を申し立てると同時に、55人が原告になって橋下市長への謝罪と損害賠償を求める裁判をたたかっています。府労委は、こうした調査を繰り返さないことを誓約する文書を労組側に手渡すよう市に命令しました。  これを受けて橋下市長は、25日朝、「大変申し訳なく思っている」と述べ、命令を受け入れる考えを示しました。ところが、同日夜「勇み足があったのは確かだが、組合にも『自分たちだけ正義面するな』と言いたい」と全面的に争う姿勢に変わりました。私たちがこの間繰り返し主張してきた、「労働者の権利侵害」を府労委が認めたことは、世論と運動の到達点であり、大いに確信にすべきものです。同時に、いったん自分の非を認めておきながらあくまで持論にしがみつく橋下市長に対して、無責任さ・道理のなさを怒りをこめて指弾するものです。 自治体が果たす役割ますます重く  読売新聞は、「労働組合法が禁じる不当労働行為のうち、自治体による組合運営への『支配介入』が認定されるのは異例」としています。  そもそも、自治体は憲法に基づき、憲法が活かされていく社会にしていくことが仕事です。民間大企業の多くが、儲け本位になって労働基準法などを守らない、中小零細企業は下請けたたきのなか守りたくても守れない状況の下で、労使関係でも「お手本」を示していくことが行政の役割です。自治体が労働組合の運営に介入してこなかったのは、ある意味当然の姿だったと私たちは考えます。労使関係が、崩されていることが異常なのだと改めて訴えるものです。  さらに、自治体労働者は、労働基本権を不当に制約されており、近年は第3者機関の人事院が生活の向上や権利の保障の役割を十分に果たさないなかで、自治体当局の果たす使用者責任が重くなっています。 働く者の権利守れの世論と運動で包囲しよう  府労委は、先日、泉佐野市の千代松市長が労働条件に関わることを一方的に条例提案したことに対しても、謝罪や正常な労使関係に戻すことを斡旋しています。橋下市長を筆頭に、維新の会による「労使関係」敵視といえる事態に対して、府労委は「労働者擁護の法律を守りなさい」という姿勢を示しています。維新の会・橋下市長に対して、労働者の権利を守れ、今争われている裁判でも、憲法違反の調査であったことを認め、謝罪と再発防止の方策を求める世論と運動を強めていきましょう。 <不当労働行為とは>  使用者が、労働者および労働組合が行う組合活動、団結活動に対して、妨害、抑圧、干渉したり、あるいは弱体化を図ったりする行為のこと。これらの使用者の行為を国家法によって禁止し、違反行為が発生した場合に、国家機関(裁判所および労働委員会)が労働者および労働組合を救済する制度を不当労働行為制度という。この制度は、国家によって団結活動を積極的に保障することを目的にしている。