6月23日付
16日、大阪高等裁判所は、枚方市長が枚方市職労に対して行ってきた支配介入について、「不当労働行為である」と断罪しました。
枚方市長の不当労働行為を断罪
枚方市長は、18年12月27日、枚方市職労に対し、機関紙「日刊ニュース」に掲載した政治的内容を嫌悪・敵視し、「目的外使用の条件に反する」として組合事務所の明け渡しを求めたり、団体交渉拒否を行ってきました。
枚方市は、20年11月に大阪府労働委員会が「不当労働行為にあたる」として、「今後このような行為を繰り返さないようにいたします」との誓約書の交付を命じる等の救済命令を「不服」として取り消しを求めて提訴。22年9月に大阪地方裁判所が枚方市の請求を棄却しましたが、枚方市は判決を不服として大阪高等裁判所に控訴していました。
大阪高等裁判所は、あらためて「不当労働行為にあたる」として控訴を棄却する判決を言い渡しました。
枚方市職労が勝訴声明
枚方市職員労働組合、大阪自治体労働組合総連合、枚方市組合事務所事件弁護団は、同日に勝訴声明を発表、この中で「原審の大阪地裁判決は、労働組合による機関紙の発行は、労働組合活動上極めて重要な役割を持っており、団結権を保障する観点から十分な保護が必要であるとした府労委命令を前提としたうえで、『組合活動に関連して、表現の自由の範囲内において、一定の政治的意見を表明すること』は許容されるとし、加えて40年以上にわたって組合事務所として使用してきたことをも考慮すると、組合が組合事務所で政権や特定政党への批判的な記事を掲載した組合ニュースの印刷・発行したことを理由に組合事務所の明渡しを求めたことは、組合の弱体化やその運営・活動に対する妨害の効果をもつとし、かつ別組合との間で使用目的制限違反を認めた場合の取扱いに差異を設けた点も踏まえて、支配介入にあたると認めた。
また、組合事務所に関する事項は、団体的労使関係の運営に関する事項にあたるとして、団体交渉に応じなかったことは不当労働行為にあたると認めた。
大阪高裁判決は、これら大阪地裁判決の判断を是認するとともに、枚方市が地方自治法の規定に則って使用許可を取り消すことをしないままに、即刻自主的に退去を求めた行為は不当労働行為にあたるとの評価を免れないと判断した。なお、使用許可を取り消すにあたっては、比例原則や平等原則等の適用が問題となり得ることも指摘されている。
およそ、労働組合が、その活動の一環として発行する機関紙にどのような記事をどのような表現を用いて作成し、どのように発行するかは、本来自由であり、その表現内容に使用者が容喙(ようかい)することは、団結権を侵害する支配介入として許されない。ましてや、公共性を体現するべき地方自治体が、労働組合の発行する機関紙の内容に対して執拗に干渉を繰り返し、ひいては組合事務所の明渡しという大きな不利益を課すことは、民主主義国家であってはならないことである。
私たちは、枚方市に対し、本判決を真摯に受け止め、上告することなく、直ちに府労委命令を履行し、正常な労使関係を修復することを求める。」と述べています
上告せず、正常化を
堺市職労は、枚方市職労の仲間に連帯し、枚方市長あてに「上告は行わず、救済命令を真摯に履行すること」「労使関係の正常化に向けて誠意をもって解決を図ること」との要請文を送付しました。