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生活保護費引き下げなどに対し、自治労連社会福祉部会が見解

生活扶助基準の引き下げを撤回し、社会保障制度の拡充を

(2月25日付)

 政府は1月27日、生活扶助基準を3年間で670億円引き下げると決め、またあわせて、期末一時扶助の見直しを行うとして70億円の削減を、2013年度予算案に盛り込みました。これに対し自治労連は、塚本道夫社会福祉部会長名で見解を発表しましたので、概要を紹介します。

 生活扶助基準については、政権交代前から「社会保障審議会生活保護基準部会」(以下、「基準部会」という)で検討され、1月17日に報告書が提出されたところです。その結果を踏まえ引き下げという形になっていますが、厚労省予算案概要に「自民党公明党連立政権合意等に基づき、生活保護制度を見直す」と記載されていることからも、政治主導の引き下げであることは明らかであり、決して容認することはできません。

 基準部会の報告書では、生活保護世帯とそうでない世帯を比較して、夫婦と子供二人の世帯で保護世帯の方が高かったとし、一方で最も多数である高齢者単身世帯については、老齢加算等の見直しにより、保護世帯の方が少ない層があることもあげています。経済情勢の悪化から引き下げは妥当であり、その決定は内閣と国会にゆだねるとしているものの、他の低所得者対策への影響も大きいので、削減のみの見直しにならないようという意見も含んでいました。

 生活扶助基準は、支給金額のみならず、受給の要否を判断する基準でもあります。それを下げれば受給対象から外れる層ができるということであって、捕捉率が他国に比べて突出して低い状況が、さらに悪化することになります。また生活扶助基準は、地方税の非課税基準、最低賃金の設定の配慮事項、就学援助の対象基準など、いわば日本の社会保障水準の物差しとなっています。影響の大きい就学援助との切り離しを検討するという厚労相発言もありますが、すでに「準要保護者」への国庫補助は廃止し一般財源化(地方交付税措置)されていて、負担が増える形となる地方の反発も予想されるなど、実現は困難との見方もあります。

 政策的インフレと消費税増税により負担は増えるばかりなのに、生活扶助基準に連動して様々な形で低所得者層の収入が下がる一方では、消費の回復など期待できず、それが国民全体の給与水準の低下につながり、このままではまさに負のスパイラルに陥るばかりです。

 この10年余りで給与所得は著しく落ち込み、年金や雇用保険・失業給付の引き下げなど社会保障が縮小され、貧困が社会的な問題としてクローズアップされた中で、唯一のナショナルミニマムである生活保護費が引き下げられることは許されません。