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厚労省「職場のパワハラに関する実態調査」報告書公表【前編】

国として初の職場のパワハラ実態把握 (12月19日付)  厚生労働省は、12月12日、国として初となる「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書を公表しました。  この調査は、職場のパワーハラスメント(以下、パワハラ)の実態を把握するとともに、問題が発生する要因の分析や、予防・解決に向けた課題の検討を行うことを目的として実施しました。  調査は企業調査と従業員調査からなり、今年の7月から9月にアンケート調査を行い、企業調査は4580社から、従業員調査は9000名から回答を得ました。 <主な調査結果> ①相談窓口におけるパワハラの相談状況  従業員の悩み、不満、苦情、トラブルなどを受け付けるための相談窓口を設置している企業は全体の73%あるが、従業員1000人以上の企業では97%と、殆どの企業で相談窓口を設置しているのに対して、従業員99人以下の企業では37%と低い水準に留まっています。  相談窓口で相談の多いテーマとして、パワハラメンタルヘルスの不調に次いで多くなっています。 パワハラの発生状況  過去3年間にパワハラに関する相談を1件以上受けたことがある企業は全体の45%で、実際にパワハラに該当する事案のあった企業は全体の32%。  一方、従業員に関しては、過去3年間にパワハラを受けたことがあると回答した者は全体の25%でした。  パワハラに関する相談について、当事者の関係をみると「上司から部下へ」「先輩から後輩へ」「正社員から正社員以外へ」といった、立場が上の者から下の者への行為が大半を占めています。 パワハラが発生している職場とは  企業調査において、パワハラに関連する相談がある職場に共通する特徴として、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」が51%と最も多く、「正社員や正社員以外など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場」が22%、「残業が多い/休みが取り難い」が20%、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」が20%と続いています。従業員調査でも同様の傾向が示されています。 パワハラの予防・解決のための企業の取組と効果  企業調査全体の81%が「パワハラの予防・解決を経営上の課題として重要」だと感じている一方で、予防・解決に向けた取組をしている企業は45%に留まり、特に従業員99人以下の企業においては18%と2割を下回っています。  パワハラの予防・解決に向けた取組として実施率が高いのは、「管理職向けの講演や研修」で、取組実施企業の64%で行われ、「就業規則などの社内規定に盛り込む」が57%と続いています。実施している取組の効果が実感できるかという点については、「講演や研修」など、直接、従業員に働きかける取組の効果の実感が高い一方で、「就業規則に盛り込む」といった事項では、相対的に低くなる傾向が見られます。「就業規則に盛り込む」といった対応は、企業規模に関わらず実施できるものの、「講演や研修」といった対応は、一定程度の従業員規模がないと実施しにくいこともあり、特に従業員99人以下の企業での実施率が低くなっています。 パワハラの減少に向けて求められること  企業調査において、パワハラの予防・解決の取組を進めるに当たっての課題として、最も比率が高かったのは「パワハラかどうかの判断が難しい」で、全体の73%が課題として上げています。また、取組を進めることで懸念される問題として、「権利ばかり主張する者が増える」が65%、「パワハラに該当すると思えないような訴え・相談が増える」が57%と多く上っています。 ※次回、「パワハラの予防・解決のための取組を進める視点」に続く。