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遂に住民による「リコール要求」に

大阪府と酷似した状況下にある米ウィスコンシン州知事(3月12日付け)

 

 アメリカ・ウィスコンシン州では、知事が公務員・労働組合を仮想敵とし、執拗なバッシングや不当な扱いとなる条例を強行的に可決しています。

 そんな中、当事者である公務員と住民による知事のリコール署名が100万人を超え、リコール要求となりました。

【大阪とウィスコンシン州、共通する公務員・労働組合に対する攻撃】

 アメリカには、「小さな政府」を掲げる「ティー・パーティー」と呼ばれる市民運動があり、それに支持を受ける知事が政権を握っている州では、公務員バッシング、教育予算の切り捨て、教員の解雇など、大阪と重なる状況が生じています。

 その一つであるウィスコンシン州では、スコット・ウォーカー知事が36億ドル(約2990億円)に上る財政赤字の削減策の一つとして、公務員(警察・消防を除く)の健康保険料と年金料を大幅に引き上げ、更に労働組合の団体交渉権を剥奪することなども盛り込んだ「財政再建法」を11年2月に提案しました。

 これは公務員の賃金大幅削減に加えて、労働組合潰しを狙った新自由主義的攻撃と言えます。

 ウォーカー知事を後押ししているのが、大富豪で石油関連企業を所有しているチャールズ・コーク氏とディビッド・コーク氏の兄弟で、10年の知事選挙では、ウォーカー知事が属する共和党に100万ドルを寄付し、ウォーカー知事個人には、わかっているだけでも、10万ドル以上が渡っていると言われています。

【対抗する住民運動の盛り上がりと強行的に可決される財政再建法】

 公務員の待遇改悪や教育の改変・予算切り捨てに反対する労働者や支援者、学生、その家族などが数々のデモを展開し、遂には、約2万5000人が州都マディソンの議事堂前に詰め掛ける大規模デモにまで至りました。

 また、オバマ大統領はウォーカー知事の法案に対して、「労働組合への攻撃だ」と語り、労働者側への理解を示しました。

 デモの参加者は、「強欲な資本家達を利するための予算案は絶対に認めてはならない」、「この闘いは公務・民間を問わず、全ての労働者の問題です」と口々に答えました。

 アメリカの労働組合ナショナルセンターである「アメリカ労働総同盟産業別組合会議」は、ウィスコンシン州の労働者の闘いに連帯を呼び掛けるフェイスブックのサイトを立ち上げ、世界各地から多くの支援の声が寄せられました。

 更にデモの波は、同様の公務員・労働組合攻撃を計画している他の州へも波及しました。

 しかし、知事側は法案を推進する姿勢を崩さず、財政再建法に反対する野党である民主党が審議を拒否し、議会の開会が延期される中、11年3月、強行的に可決させました。

【100万人を超える署名による知事のリコール要求】

 ウォーカー知事は、ほとんどの公務員の団体交渉権を取り上げる法律を押し通したことで非難を浴び、反対する人々が、州投票による知事のリコールを要求する100万人以上の署名を12年1月に提出しました。

 100万人を超える署名は、リコール要求に必要な数である54万人のほぼ2倍であり、アメリカの歴史上最大のリコール要求になりました。

 リコール署名活動に取り組んだカスリン・バーンズ氏は、「人生の大半をマディソンで過ごしてきたが、今日ほど、この州を誇りに思ったことはない」と語りました。

 また、オハイオ州では、知事が提案し、州議会で採択された反労働組合的州法が住民投票により、11年11月に否決されました。

【大阪でも】

 大阪でも、橋下大阪市長大阪維新の会による公務員・労働組合への攻撃が激化しています。

 住民の支持に支えられているという複雑さがありますが、背景に、非正規労働者の激増、低賃金、雇用不安、脆弱なセーフティネット、そういった鬱屈を何処に持っていけばよいのかわからない閉塞感があると考えられます。

 しかし、格差の根因は、公務員バッシングを拠り所とした「小さな政府」にあったことは、小泉構造改革を振り返れば明らかです。

 声高のバッシングの裏で全く取り上げられていない均等待遇や公契約条例といった分野で、如何に連帯を広げるかが、ウィスコンシン州のような闘いに繋げられるかのカギだと言えます。