堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

堺市職労(堺市職員労働組合)ブログです。

安西冬衛日記に見る堺空襲

堺平和のための戦争展で展示

 

 

「堺平和のための戦争展2011」が8月27、28日の両日、サンスクエア堺にて開かれました。

 

 堺市職労としては実行委員会に参加するともに、「金岡公園ピースメモリークラブ」と共同で「安西冬衛日記に見る堺空襲」の展示を担当しました。

 

 安西冬衛はわが国の短詩運動の先駆けとなった詩人で、「てふてふが一匹韃靼(だったん)海峡を渡って行った」という有名な作品は、ザビエル公園に詩碑が建立されています。

 

 一方で1935年、堺市よりの依頼で「堺市歌」を作詞したことが縁で堺市役所の職員となり、戦後まで秘書課や庶務課に勤務しました。『安西冬衛全集』には彼の日記が収録されており、特に戦時中のものは、当時の堺の市民生活を知ることができる貴重な記録となっています。

 

 とりわけ1945年8月15日の彼の日記は、『堺市職労運動史』(1999年刊)にも引用され、印象深い記述となっています。「8月15日(水)晴……綾之町まで出てバスで登衙。経理の山本に、けさ5時、本日正午重大放送ある旨をきく。風雪愈々(いよいよ)現実の問題になったのだ。家へ小使岡本出す。馬鈴薯と手紙。三階からの展望。地平濛気。海も山も見えず。国将に亡びんとしてこの形象。……」

 

 この他に、数次にわたる堺への爆撃の被害や、空襲前の堺市内の建物疎開の様子などが日記からよくわかります。今回の展示では、こうした日記の記述と公的な戦災記録などと照らしあわせることで、堺空襲の実態をさらに詳細に明らかにすることができました。また展示コーナーには、実際に本人や親が堺空襲を体験したという方が何人も訪れ、貴重な証言を聞くこともでき、有意義な取り組みとなりました。