堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

堺市職労(堺市職員労働組合)ブログです。

夏季交渉を振り返る② 物価高騰を上回る賃上げ 定年延長、人員体制は継続

5月31日付

 

夏季一時金等要求書に対し示された回答について前進した項目があった一方で具体的な改善策が示されなかった項目もありました。

◆物価高騰を上回る全職員の賃上げ、一時金増額、諸手当の改善
 物価高騰を上回る賃上げについては、とりわけ昨年の勧告でわずかな賃上げにとどまった中高齢層の賃金改善、常勤職員や会計年度非常勤職員に比べて低すぎる再任用職員の一時金支給月数の改善等を強く求めましたが、具体の改善策を回答させることができませんでした。しかし、当局が一貫して「民間企業の従業員の給与水準などを踏まえて行われる人事委員会の勧告は重いものであり、給与改定については勧告を踏まえて対応すべきもの」と、主体的な判断を行おうという姿勢を示さないもと、交渉や要請行動で”厳しい状況にあっても職員の生活を守る”という“使用者責任”を果たすよう厳しく追及。第3回交渉では総務局長から「人事委員会にも現場の声を伝える」との回答を引き出し、最終交渉でも佐小副市長から「同じ姿勢である」との確認を行うなど、従来の“勧告まち”という姿勢を正してきました。
◆定年引上げの残課題解決、高齢者雇用
 定年引上げにかかる残課題である「職の整理」については、「定年引上げ職員が担う職務について、各部局の状況を確認するなど、必要に応じて整理してまいりたい」との回答にとどまりました。
 この点については、今年4月に実際に配置された定年引上げ職員の状況を、労働組合として十分に把握できていなかったことで、より具体的に「職の整理」の不十分さを指摘・追及するという点で課題が残りましたが、定年延長をめぐる交渉経過のなかで、賃金面でのモチベーション向上策を求める組合に対して「職の整理」を行うと回答した当局には、労働組合に対し納得いく説明をする責任があることを改めて指摘しました。
◆人員体制の課題
 交渉では今年度の正規職員の欠員状況を確認し、採用予定数を確保できなかった職種があることやこの間の採用辞退者・普通退職者の増加傾向を踏まえた合格者の上積みなどの対応を求めました。
 育児休業正規代替については、今年度、一般事務職は昨年度の6名から8名に増員されましたが、代替確保が不十分な状況や今後も育児休業取得者の増加が見込まれることなどを指摘し、現在、一般事務職と保健師のみ試行実施されている正規代替について、対象職種・人数の大幅な拡充を求めるなかで、「一般事務職において人数を拡大する方向で対応してまいりたい」との回答が示されました。
 また、保育教諭の正規職員の採用について、「60歳到達者や普通退職者の補充、配置基準の改正、職員の年齢平準化、朝夕保育教諭の欠員を勘案し、積極的に採用するとともに、年度途中の任用に努めるなど、保育教諭の体制確保を図ってまいりたい」との回答とともに、「保育教諭の負担軽減策等について所管部局とともに協議してまいりたい」との回答も引き出しました。
人事院勧告に向けて  例年8月に行われる、国家公務員給与に対する人事院勧告は昨年、月例給で0・96%引上げ。今年は民間の給与引上げが好調なことから1%超の期待が高まっています。しかし人事院は「給与制度のアップデート」という耳障りのいい呼称を使いながら全体的な水準引上げを行わず、限られたパイの中で昇格(出世)する職員に有利な、結果的に出世しない職員にとっては不利な体系を作り上げようと狙っています。
 国家、地方問わず公務員の人気は低迷し、「キャリア官僚受験」は直近10年で4割減少。人事院、人事委員会の本来の役割は給与原資を特定の職員にのみ分配することでなく、全体的な賃金労働条件を改善することにあります。これから夏の人勧に向けて取り組まれる要請署名や全国的に行われる取り組みに積極的に参加し、秋に行われる堺市人事委員会勧告への好影響につなげましょう。