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人事院勧告の報道から 公務員の勤務労働条件改善世論の醸成を

8月18日付

 7日に行われた人事院勧告について、新聞やネットニュースなどで様々な報道がされました。国家・地方公務員給与の変遷を含め、現在の状況について報告します。

 

 そもそも論ですが、人事院や人事委員会は「日本国憲法で保障される労働基本権について、制限を受ける公務員に対する代償機関」です。団結(ストライキ)権がない、副業が禁止もしくは制限されている、労働基本法で制限される時間外労働時間の対象外、など様々な制約がある公務員の勤務労働条件の改善について政府や地方自治体に勧告する立場にあります。

 

 しかし実際は違います。とりわけ2000年代前半頃からはその傾向は強くなりました。「100人未満の中小企業の給与調査も勧告に反映」「一時金は期末手当を引下げ、勤勉手当を引上げて評価給を強化」「地域手当の支給率で中央と地方の格差拡大」などが次々に進められました。

 マスコミの報道も「公務員天国」「官から民へ」など公務員に対して批判的なものが多く、厚遇されている、公務員を減らすべき、勤務労働条件が引き下げられるべきというバッシングが繰り返されてきましたが、ようやく最近になって変化が見られます。

 

 人事院勧告について日本経済新聞は「優秀な人材の公務員離れを食い止めるには民間と比べて見劣り感のある給与を改善し、「ブラック霞が関」と揶揄される職場環境を改革する取り組みが欠かせない」と改善を進める論調。学生を対象にした意識調査で国家公務員を選ばなかった理由に「民間と比べて給与が低そう」を挙げた人は4割弱に上ったこと、国家公務員の実質的極位である事務次官の年収でさえ約2350万円に対し大手企業の役員報酬が株式分も含めて約6400万円であること、入省5年未満の退職率が16年度採用者で10%に上り3年前と比べて5ポイント上昇したなど具体的な数値を含めて紹介しています。

 

 東洋経済オンラインでは就職情報会社「マイナビ」が23年卒業予定の大学3年生と大学院1年生を対象に実施した調査で公務員を就職先の選択肢として「考えたがやめた」との回答が41・5%に達し増加傾向にあること、国家公務員採用試験の申込者が12年度には2万5千人を超えていたが、22年度は1万5330人と大幅に落ち込んだことに「ネガティブなイメージを払拭すべき」という論調。公務員バッシングから転換期を迎えていることは間違いありません。

 

 公務員の勤務労働条件改善は民間の同条件にも好循環を与えます。来月以降、各都道府県・政令指定都市人事委員会が勧告する時期を迎えます。本市でも行動に取組み、その成果を秋の交渉につなげましょう。