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大阪労連が声明を発表 大阪万博工事における時間外上限規制の除外を求める動きに抗議する

8月7日付

 2025年大阪・関西万博をめぐって、海外パビリオンなどの建設が遅れていることから、主催する万博協会が政府に対し、時間外規制の上限規制を適用しないよう要望したことが明らかになり、大阪労連は次の声明を発表しました。

 

 報道によれば、海外パビリオンなどの建設が遅れている2025年大阪・関西万博での建設工事について、主催する日本国博覧会協会(万博協会)側が、政府に対し、時間外労働の上限規制を、万博工事に適用しないよう要望したことが明らかになった。2025年の万博開催を優先し、労働者の健康や命、人権を軽視する万博協会の要請は断じて許されない。

 

 過去に、東京オリンピックパラリンピックでも新国立競技場の建設工事の遅れを取り戻すために作業員が過酷な長時間労働を強いられた結果、過労死や過労自死の被害にあった。このほかにも、大会施設工事に労災事故が多発した。また、海外でも2022年ワールドカップカタール大会開催のためのスタジアム建設などでは多くの外国人労働者が劣悪な労働環境のもとで亡くなったという指摘があり、開催国の人権問題に対し各国から抗議の声が広がった。

 

 大阪万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマと掲げている。しかし、労働者の健康と命、人権を軽視する今回の要望は万博のテーマ、開催理念に反するものである。


 万博協会は「持続可能性に配慮した調達コード」を定め、「サプライヤー等は、調達物品等の製造・流通等において、違法な長時間労働をさせてはならない」としている。万博協会が自ら定めた長時間労働禁止の調達コードを破り、建設現場の労働者に過酷な長時間労働を強いるために政府に要望したことは、到底許されない。

 

 働き方改革関連法では、時間外労働の上限規制(時間外労働は原則360時間、労使合意があっても720時間)が2019年4月から適用されてきたが、建設業界は、人材不足の影響により長時間労働が常態化していたことから、労働時間の上限規制が5年間猶予され、2024年4月から適用される予定となっている。今回の万博協会の要望は、業界全体に求められていた長時間労働抑制のとりくみに逆行するものである。


 建設業については、災害時の復旧・復興に限り、労働時間の上限を適用しないこととされている。この点に対する批判もあるところだが、万博を予定通りに実施したいという身勝手な思惑のために、法が定める上限規制の例外を安易に認めることはあってはならない。


 大阪労連は、万博開催のために労働者を始めすべての工事に従事するものの安全を犠牲にしようとする万博協会に対して強く抗議する。工事の遅れの全てのしわ寄せを労働者に押し付けることは許されない。政府は、万博工事において労働者の健康と命、人権が守られる労働環境が必要であることを鮮明にし、万博協会からの要請に応じることなく、撤回を求めるべきである。