8月17日付
日本にとって、広島・長崎の原爆投下、終戦記念日と続く8月は、「平和の大切さ」を考える機会になっています。さらに、コロナ禍の今年は、「政治を変える」ことと切り離せません。
世界の流れは「核兵器禁止」
核兵器禁止条約は、核兵器を、国際人道法の原則に反する兵器として「開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用、威嚇としての使用」まで全面的に禁止するもので、3年前、国連で採択されました。
広島に原爆が投下されてから75年となった6日、国連では、アイルランド、ナイジェリア、それに太平洋のニウエの3か国が批准書を寄託し、長崎の日である9日に、セントクリストファー・ネービスが続いたことでその数は44となり、条約の発効まであと6か国となりました。世界では、脈々と「核兵器のない社会」をめざして、世論と運動が広がっています。
アメリカの核の傘に依存する日本政府
安倍晋三首相は9日、長崎市での平和祈念式典で核廃絶への決意を示しながらも、具体的な道筋は語りませんでした。日本は唯一の戦争被爆国でありながら米国の「核の傘」に依存し、核兵器の保有や使用を全面的に禁ずる核兵器禁止条約に反対の立場を取っているからです。
中国や北朝鮮が挑発を繰り返し、核保有国の米ロや米中が対立を深め、核を巡る安全保障環境は悪化していますが、首相は「橋渡し」を繰り返すだけで、核を巡る緊張緩和に向けた動きは乏しい、と言わざるを得ません。
唯一の被爆国である日本が、核兵器の「被害の大規模さ、深刻さ」「非人道性」を明らかにし、核兵器をなくす運動の先頭に立つことこそ求められています。
命や暮らしを大切にする政治に切り替える時
今、コロナウイルスによるパンデミックのもとで、「世界大恐慌以降で最悪の景気後退」(IMF)が広がり、誰もが先の見えない不安を抱えています。
改めて、「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」政府の責任が問われています。
5兆円にものぼる膨大な軍事費や米軍への思いやり予算を削り、新薬の研究開発、医療機関の充実、労働者の生活向上、収入を絶たれた人の補償へと舵を切る時です。
労働組合は、平和や民主主義を守るたたかいと連帯し、働く仲間の団結を強め、歴史を前に進める運動の一翼を担います。団結の力、運動の力で社会は変えることができます。