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「非労働者化」阻止の足がかりに 下

「非労働者化」阻止の足がかりに 下

最高裁 実態踏まえた妥当な判断示す

【「非労働者化」阻止の足がかりに】

 業務委託など雇用契約でない働き方でも「労働組合法上の労働者だ」と認める最高裁判決。契約の形式ではなく、就労の実態に着目した極めて妥当な判決であり、「非労働者化」の流れをストップさせる効果が期待されている。

 裁判ではこの間、本来は「労組法上の労働者」として扱うべき人たちの労働者性を否定する下級審判決が相次いでいた。「労働者性」が否定されれば、憲法28条の「団結権」「団体交渉権」「争議権」が保障されず、契約の発注者(使用者)との対等な交渉が困難になってしまう。

 だからこそ、労働組合法上の労働者を判断するに当たっては、契約の形式にとらわれず、使用者に対し社会的・経済的に弱い立場に置かれている者を広く「労働者」として認めてきた経緯がある。

【判決テコにした運動を】

 INAXメンテ事件を担当した河村学弁護士は、両事件の判決には共通する「判断要素」があると指摘する。具体的には、①事業組織への組み込み②仕事の発注に対し実態として応ずるべき関係③契約内容の一方的な決定④指揮命令⑤時間的・場所的拘束⑥労務の対価としての報酬─の6点で、今後の労働者性の判断ではこうした「要素」の有無が問われることになるという。

 近年、社会保険の支払いや解雇規制などを逃れる目的で委託や請負、フリーランス一人親方など雇用契約以外で働く人が急増している。そうした「偽装雇用」を許さないためにも、組合をつくり、待遇改善を求めて使用者と交渉することは最低限の権利だ。この判決をテコに、「非労働者化」の動きを押し返す力強い運動が求められている。

団結権を行使しよう 全労連

 労働者性をめぐる2つの最高裁判決を受け、全労連は4月13日、談話を発表した。判決は合唱団員や委託契約労働者の労働者性を認めており、談話は弱い立場にある「個人事業主」に対して、「今回の最高裁判決を活かし、団結権を行使しよう」と呼びかけている。

 両判決が労働者性を認定したことにより、「労働者として使用しながら、契約書面上だけで労働者性を否定することは許されないとする流れができた」と指摘。形式が「個人事業主」であっても、実態が労働者であれば「労働組合を通じた適正な労使関係の構築が基本になる」とした。

 そのうえで、こうした「個人事業主」に対し、労働条件を改善するには団結権の行使が必要であることを広く訴えたい、と強調している。