堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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「非労働者化」阻止の足がかりに 上

「非労働者化」阻止の足がかりに 上

最高裁 実態踏まえた妥当な判断示す

 先月12日、労働者性をめぐる2つの事件で最高裁がいずれも「労働者性あり」と判断しました。救済の必要な労働者を形式論で門前払いした東京高裁などの姿勢が改めて問われ、「偽装雇用」がはびこる昨今、良識を示した判決だと言えます。

合唱団員の労働者性認める【新国立事件】

 新国立劇場の元合唱団員、八重樫節子さんが団体交渉を拒否されている事件で、最高裁は、合唱団員は労働組合法上の労働者ではないとした東京高裁判決を破棄し、労働者性を認める判断を下した。不当労働行為の成立については、東京高裁に審理を差し戻した。

 裁判では、①八重樫さんが03年12月に試聴会の成績を理由に運営財団から出演契約の更新を拒否されたこと②八重樫さんが加入する音楽家ユニオンの団交の申し入れに対し、財団が「合唱団員は労組法上の労働者に該当しない」と拒絶していたこと─が不当労働行為に当たるかどうかが争われていた。

 東京都労働委員会中央労働委員会は、合唱団員の労働者性を認め、団交拒否についてのみ不当労働行為を認定。一方、東京地裁と東京高裁は労働者ではないとして、いずれの請求も認めなかった。

 判決は、合唱団員が公演の実施に不可欠な歌唱労働力として組織に組み入れられており、「公演出演の申し込みに応ずべき関係にあった」などとして、「労組法上の労働者であるのが相当」と判断した。

 東京高裁に審理を差し戻したのは、これまでの裁判で不当労働行為の有無について判断が示されていないため。今後、高裁で改めて審理が行われる。

 八重樫さんは「ホッとした。やっとスタートラインです」と笑顔をみせた。

「委託事業者」の労働者性認定【INAXメンテ事件】

 住宅設備機器メーカー・INAXの製品修理業務を請け負うカスタマーエンジニア(CE)でつくる労働組合の団体交渉拒否事件をめぐり、委託事業者の労働者性が争われた裁判で、最高裁は、判決を下した。CEは労働組合法上の労働者だと認定し、団交拒否は不当労働行為に当たるとした。

 団交を求めているのは、INAXメンテナンスと業務委託契約を結ぶCEでつくる建交労・建設一般合同支部INAXメンテナンス近畿分会。労働条件の改善を求めて04年9月に結成。会社側は「CEは労働者ではない」と団交を拒否している。

 組合の救済申し立てに対し大阪府労働委員会中央労働委員会東京地裁は「CEは労組法上の労働者に当たる」として不当労働行為の成立を認めたが、東京高裁は労働者性を否定。救済命令を取り消していた。

 判決は、CEが①事業の遂行に不可欠な労働力として、恒常的に組織に組み入れられていた②契約内容が一方的に決定されていた③報酬が労務の提供の対価である─ことなどを指摘。CEは労組法上の労働者に該当するとして、不当労働行為を認めた地裁判決を支持し、高裁判決を破棄した。

 小舟和夫分会長は「会社は判決を真しに受け止め、交渉に応じてほしい」と話している。   

(つづく)