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法定協、「都構想」経済効果に疑問 住民サービスへの影響懸念

9月2日付

8月26日、大阪市を廃止・解体して、4つの特別区にする「大阪都」構想の制度設計を議論する第25回大都市制度(特別区設置)協議会(法定協)が開催されました。

10年で1・1兆円??

 法定協では「都構想」の経済効果について府市から委託を受けて報告書を提出した学校法人「嘉悦学園」が出席し質問を受けました。

 報告書によると「基礎自治体の一人当たりの歳出額は50万人程度が最小で、それ以上になると増える。大阪市は非効率で『特別区』に分割すると年1100億円、10年間で約1・1兆円の経済効率化効果が生まれる」としています。

 これに対し、維新の会は「十分な効果があると学術的に証明された」と評価したものの、他の会派からは「予算と決算が混在。統計学的にも経済学的にも問題がある。市民に誤解を与える数字」(自民)、「経済効果が生まれるどころか、コスト増になり住民サービス低下につながるなど市民にとって良いことはない」(共産)などの疑問や批判が出されました。

 また、自民党の川嶋市議は「数字を決算ベースに合わせ、大学、病院、消防など府に移管される事務事業分を除くと、経済効果は年間445億円のマイナス」との独自試算を示して指摘しました。共産党の山中市議は「府内自治体の歳出額を見ても人口50万人を底にU字カーブを描くということにはなっていない。大都市で行政経費が高くなるのは昼間流入人口への対策や、物価など大都市特有の事情であり、4つの特別区をつくっても一人あたり歳出額が減少することにはならない」「逆に330人の職員増やシステム運用経費の増加によってマイナスになる」と指摘しました。

プラス効果しかない??

 松井代表(大阪市長)は「プラス効果しかないことがはっきりした」「都構想をすすめる価値があると、市民に判断してもらえる」と述べますが、公明党の肥後府議も述べたように「効果額は理論上の数字」である以上、この試算をもって「プラス効果しかない」などとは到底言えません。

本質は「権限・財源」吸い上げ

 そもそも都市計画の権限や財源を府に吸い上げられる「大阪市廃止・解体」と「特別区設置」で想定される膨大なコストやデメリット、市民サービスへの影響などをリアルに検証しなければならないはずです。しかも、基礎自治体の権限・財源を保障し、身近なところで市民サービスやまちづくりをすすめる地方自治拡充の流れに逆行する問題こそ真摯に議論されるべきではないでしょうか?

 堺市職労は、引き続き、市民のくらしと地方自治を守り、働きがいある職場づくりの観点から、大阪市でも堺市でも「大阪都」構想を許さない運動を広範な住民、市民団体とも共同してすすめます。