堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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非常勤の会計年度任用職員移行第1回交渉

1月25日・28日付

大綱合意踏まえた任用を 報酬額の引下げ認められない

 会計年度任用職員の勤務労働条件について、団体交渉を総務局長、教育次長出席のもとで21日に開催しました。(組合は約50名の参加)現在、堺市に従事している非常勤職員、短期臨時職員の勤務労働条件は、2020年度から新制度へ移行し、その具体化に向け、今回の団体交渉を皮切りに、継続して団体交渉を行っていきます。

 交渉のやりとりを掲載します。

【法改正の趣旨を尊重した移行について】

組合:今回の地公法の改正は、平成28年10月27日付けの「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」を踏まえたもの。その報告書では、労働者性の高い臨時・非常勤職員の処遇上に課題があるとされているが、そのことについての認識は?

当局:○報告書の課題解消に向けて、会計年度任用職員制度が創設されたものと認識。

○市における会計年度任用職員制度について、国の事務処理マニュアルをベースとすることで、課題に対応できるものと考えている。

組合:衆議院参議院での附帯決議で「移行にあたって不利益の生じることのないように」とされている。具体化にあたっては果たされるべき。

【任用方法】

大綱合意ゆるがせにできるものではない

組合:大綱合意に関する当局の認識は?

当局:○大綱合意については、それまでの様々な非常勤職員の皆さんの雇用条件を整理させていただく中で、任用や報酬に関して労使間で確認したもの。

○特に雇用の継続については思いが強いものと認識。

組合:雇用だけは守ろうと、様々な条件が後退したけれども合意したものであり、今回の会計年度任用職員制度の導入によって、その趣旨をゆるがせにできるものではない。

労使経過踏まえた選考の具体案提示を

組合:現在は非常勤職員の任用については、大綱合意により勤務実績が良好であれば、60歳まで、その後、高年齢者雇用期間を含め65歳まで雇用が継続される制度となっているが、今回提案された制度では、任用について、初回は「公募」、2回目と3回目は「勤務評定」となっており、4回目には再度公募となっている。再度の公募にあたり、再度の任用を妨げないと示されているが、公募をするということは、勤務成績に問題がなかったとしても任用されないことがあるのではないか。

当局:○会計年度任用職員は、事務処理マニュアルにおいて、任期は最長1年、任用は平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、任期ごとに客観的な能力実証を行うこととされていることから、勤務評定に基づく再度の任用は限定的な運用が求められると考えている。

○3年を1サイクルとした任用方法は、国の非常勤職員が、原則2回まで勤務評定に基づく任用をしていることを参考としたもの。

○任用方法について、「2回目以降の公募について再度任用を妨げないこと」、「職員が65歳になるまで3年1サイクルを繰り返すこと」としているのは、大綱合意をはじめとするこれまでの労使経過を踏まえたもの。

組合:提案内容では、3年に1回「公募」を繰り返すことになっている。これまでの労使経過を踏まえると「公募」を受け入れられるものではないが、実質的に任用継続が保障されるのか、また3年に1回の選考の負担がどの程度なのかは、公募の具体的な方法を示してもらわなければわからないので、早急に示してほしい。

当局:提案している3年ごとに公募という任用方法は、「事務処理マニュアル初版」をベースとしたものであるが、昨年10月に示された改訂版において、改めて選考の考え方も示されているので、それらも踏まえて、早急に選考方法の具体案を示させていただきたい。

組合:その点について、みんな不安に思っている。雇用は根本である。私たちが理解できるもの、将来的にもしっかり引き継がれる制度を示していただきたい。

【報酬額】

当局「正職をベースに労使経過踏まえ提案」

組合:提案された報酬額についての考え方を示してほしい。

当局:○会計年度任用職員は、一般職の地方公務員であり、地公法が適用されることになる。従って、報酬水準の考え方は、正規職員の給与決定の根本原則と同様に「職務給の原則」、「均衡の原則」等に基づいている。

○提案した報酬額の大きな考え方としては、本市の正職に適用している行政職給料表をベースとし、正規職員と会計年度任用職員の職務職責の程度を考慮したもの。

○また、これまでの労使経過を踏まえ、65歳まで任用されたときの新制度と現行制度の生涯賃金なども考慮している。

○具体的には、

・職務の級は行政職給料表2級(高度な職を担う一般職)まで。

・初回任用時の報酬額は、正職の初任給格付け(高卒1級13号給、大卒1級29号給)を考慮しつつ、任用職種ごとの現行の報酬単価差を加味。

・再度任用時における職歴換算は1年ごとに最大10年まで。

・臨床心理技術者の職など一部の職を除き、職歴換算後の格付けの考え方は正規職員の2級までの昇給昇格に準拠している。

組合:提案内容と現行制度を比較すると、61歳から65歳の期間の報酬は大幅に増額されるが、60歳までの報酬は大幅な減額で、初回任用時の年収が▲50万超となる職種も多い。現行の非常勤制度に比べると著しい改悪である。

当局:○会計年度任用職員制度の目的には、これまで地方公共団団体が独自に多種多様な勤務条件で任用していた非正規の地方公務員の勤務条件を整理することも含まれていると考えており、今後は、国から示されている一定の幅の中で運用することが求められている。

○現行の非常勤職員の報酬制度と比べると年収額が低くなる期間が生じるが、今回提案している本市の制度の報酬水準については、国の事務処理マニュアルをベースとしているものであり、妥当性があるものと考えている。

現給保障が最低限

組合:現在、非常勤職員として任用されている人の移行後の報酬については、どのように考えているのか。

当局:会計年度任用職員に移行するにあたって、現在担っている職務と同様の業務に従事いただく場合は、特別職非常勤として任用していた期間についても職歴として換算する取扱いとするよう考えている。

組合将来的にみて有利になるとしても、非常勤職員の皆さんは今の報酬をベースとして日々の生活をしている。組合員からは、切り替えによって年収が大幅に引き下げられれば、生活ができなくなるので退職せざるをえないという声も聞く。大幅に退職者が出ると、市民サービスにも影響が生じるのでは。私たちの要求は「現行水準を下回らないこと」であり少なくとも現給保障を行うことが必要だ。

当局在職されている職員の皆さんが、新制度開始によってどのような影響が生じるのかは、個々の在職年数や年齢によって異なるので、改めて詳細を検証させていただきたい。

組合:切替えの影響については、労使間で確認が必要と考えているので、職種ごとの在職年数や年齢別のデータの提供をお願いしたい。

当局:窓口を通じてお示ししたい。

【公務運営】

組合:平成32年4月から制度が導入されることになるが、これは非正規の地方公務員の拡大に繋げるものではないと考えている。公務運営は、常勤職員を中心とすべきと考えているが、当局に見解を示してほしい。

当局:○「事務処理マニュアル」においても、常勤職員と臨時・非常勤職員との関係が示されており、「公務の運営においては、任期の定めのない常勤職員を中心とするという原則を前提とすべき」と明記されている。

○本市としても、公務の運営は常勤職員が中心であるという「事務処理マニュアル」と同じ立場である。

 最後に山道委員長から「今後、定期的な交渉を開催し、労使合意で制度化をはかること」を述べ、交渉を区切りました。