堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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さかい未来づくりサロン 和歌山視察報告①

M・Tさん(1月23日付)

和歌山市のリノベーションまちづくり視察報告

11月30日から12月1日にかけて、さかい未来づくりサロンの取組みであるまちづくり視察として、和歌山市を訪問しました。

和歌山市の抱える課題

和歌山県都で中核市和歌山市は、人口減少、とりわけ中心市街地は50年で居住人口が半減(近年は下げ止まり傾向)、まちなかの商業の推移をみると事業所数、従業者数は平成3年と比べて半減、年間販売額は4分の1、かつて500店舗あったという「ぶらくり丁6商店街」の空き店舗率は平成29年で35・9%となっており、中心部の百貨店は大丸、丸正、高島屋が撤退し、JR和歌山駅前の近鉄のみが残っているという状況です。さらに地価も下がり続け、まちなかの空き地、駐車場等の遊休不動産も増えています。

和歌山市のリノベーションまちづくり

今回の視察にご協力いただいたのは市の都市再生課及び政策調整課の担当職員と㈱紀州まちづくり舎のみなさんです。

平成25年から始めた中心市街地のリノベーションまちづくりは、今あるもの(遊休不動産・公共空間)を活かして、新しい使い方でまちを変え、都市・地域の課題を解決しようとする取り組みです。

民間主導でリノベーション事業をおこし、行政が支援する公民連携を基本とし、遊休化した不動産などの空間資源と潜在的地域資源を組み合わせるプロジェクトで地域を活性化させようとするもので、具体的には「家守(やもり)会社」と呼ばれる民間自立型のまちづくり会社が、リノベーションを通じて、雇用の創出やコミュニティーの活性化を図っています。(家守会社は5社設立)

担い手を育成する

その事業スキームは、志を持つ不動産オーナーが遊休不動産を提供し、家守会社が民間によるリノベーション投資を行い、事業オーナー(飲食店、シェアハウスなど)が運営する、というもので、このリノベーションまちづくりをすすめるために、短期集中合宿「リノベーションスクール」を開催し、担い手の育成を図っています。(スクールはこれまでに7回開催し、約200名が受講)

このスクールが提案した事業が7件、受講生が携わって事業化されたものが10件あり、まちなかのコンテンツが充実しつつあります。(図参照)

私たちもその一部である焼肉店、日本酒バー、農園レストラン、野菜スイーツとパンの店、ギャラリーなどを見学、宿泊先も民間マンションをリノベーションした(一部入居している人もいる)ゲストハウスでした。さらにスクールがきっかけとなり、商店街や道路、河川を利用したイベントが開催されています。

また、ゲストハウスの向いには県の「暴力追放県民センター」がありますが、聞けば以前はこのゲストハウス1階と県民センターがともに暴力団事務所であったらしく、わかりやすいリノベーション(?)だな、と感心しました。

さらに和歌山城の外堀である「市堀川」を活用した「水辺を活かしたまちづくり事業」では、「市堀川クルーズ」や「まちなかSUP」「カヌー」、カフェやマルシェなどの社会実験が実現しています。

市では、平成29年3月に、リノベーションまちづくりの目的、方向性、進め方を示すために、「わかやまリノベーションまちづくり構想検討委員会」で10人の委員や一般参加者からの発言に基づき「わかやまリノベーション推進指針」を策定しました。

商工推進課でスタートしたという指針は、「質の高い教育機会と子育て環境の創出」「都市型産業の振興と質の高い雇用の創出」「河川・水辺空間の活用」など11の戦略に基づいており、これに沿う形でまちづくりが推進されています。

和歌山市は、JR和歌山駅と南海和歌山市駅に挟まれた市街地の立地が堺の中心市街地と似ていたり、その中にある商店街が苦戦していたり、と中心市街地の活性化に向けた課題や官民が連携した取り組みについて大いに参考になりました。

これらの取組みのカギとなっているのは、まちづくりへの思いのある受講生が集まるリノベーションスクールが担い手を育てる役割を果たしていること、また、毎回の委員会(平成28年7月から平成29年1月までで6回開催)に約100人もの一般参加者が集まり、幅広いテーマ(周辺エリア、子育て・女性、新産業など)で学び、議論しておられることなど、「まちづくりを担う人を育成する」ことではないか、と思いました。

これからのまちづくりを考え、学び、議論し、行動する人々が育つための仕掛けの大事さを感じました。