堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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さかい未来づくりサロン 和歌山視察報告②

1月25日付

T・Mさん

 さかい未来づくりサロンの視察は毎年参加していますが、毎回新しい刺激を受け、楽しみにしています。

 今回の視察では、初日に和歌山市職員の方に行政の立場から取組についてご講義いただき、二日目には現場で活躍されているNPO法人紀州まちづくり社の方に、まちをめぐりながら案内していただきました。

 和歌山市の危機感は、数字で表すとよく分かります。市の中心部の路線価が平成5年には1平方メートル当たり180万円だったのが、平成26年には15万円と約1/10に急落したこと(私たち行政への収入である固定資産税の激減)、南海和歌山市駅の1日当たり乗降客数が昭和45年の約5万人から平成28年の約1.7万人に激減していること。この二つの数字を見ると、危機感を感じずにはいられないでしょう。

 そこで和歌山では、まちとしての魅力を高めるために「リノベーションスクール」と水辺再生プロジェクトに取り組んでいます。「リノベーションスクール」とは、遊休不動産を生きた題材にしてスクール参加者が活用方法を検討し、大家さんに提案し、実際に事業化するというもの。毎年多くの参加者が集まり、まちの風景が少しずつ変化していきています。和歌山には「ぶらくり丁商店街」という、かつて賑わった商店街があり、商店街にはいくつか実際にリノベーションされた物件があります。そこを拠点に商店街で毎月一回マーケットイベントを開催し、毎回一万人弱の集客を集めているとのこと。堺東でも月に一度「ガシ横マーケット」が開催されており、再生への取り組みが始まっています。まさに「マーケットがまちを変える」力があると実感しました。

水辺再生の取組としては、元々和歌山城の外堀であった市堀川を活かしたまちづくりに取り組んでいます。かつては水運で活用されていた川ですが、高度経済成長期には所謂“どぶ川”になり、誰からも見向きもされなくなってしまいました。しかし近年、県が川沿いに遊歩道を整備し、水上交通が試験運航されるなど、その活用が模索されているとのこと。今後は川沿いにある市営の青空駐車場と遊歩道を一体にした公園として整備するそうです。堺にも、内川・土居川で構成される環濠の水辺があります。これは過去から私たちが受け継いだ遺産で、最近話題の言葉でいえば「レガシー」といえるものです。この環濠の水辺を活かしたまちづくりを行い、今後数十年先を見据えたまちを作ることが私たち堺市職員にも求められていると思います。

 夜は和歌山市の職員の方々と交流会をし、楽しい夜となりました。肉屋さんの組合が所有するミートビルをリノベーションした焼肉屋さん「meat×meet」、リノベーションスクールに参加していた和歌山県庁の職員の方が思い切って退職し開業した水辺の日本酒バー「水辺座」、和歌山で今一番アツいエリアで超個性的なお店が集まる元寺町ストリート、視察メンバーの大学の後輩が始めたバー「メダカノイズ」。面白いまちは人も面白い。職員はまちに出て、週の半分以上はまちの人たちと飲みに行き、午前帰りもざらだとか。とても見習いたいとは思いませんが、アツい想いを持った人たちがアツいまちにするのだと実感した和歌山視察でした。