堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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さかい未来づくりサロン 和歌山視察⑤

1月28日付

K・Nさん

 今回、視察に行くことになった和歌山市は「リノベーションまちづくり」の取り組みで有名な自治体であり、その現場を拝見できるということで楽しみにしていましたが、実際に視察して実感したのは、「リノベーションまちづくり」の取り組みを皮切りに、水辺や遊休公共空間の活用などで少しずつ様々な変化が街に生まれつつある和歌山市の今でした。

 実際に和歌山市の職員の方に案内して頂き、中心市街地の様々な場所を見させて頂きましたが、空き店舗をリノベーションして創り上げた飲食店舗やゲストハウスなど、リノベーションまちづくりの取り組みを通して生まれた市民によるトライアルや、アジアの屋台村を思わせるテイストの商店街など、独自のストリートカルチャーがあちらこちらに見られ、魅力的な風景を作っていました。

 また、水辺空間などでのイベントでは、多くの来場者が訪れ、にぎわいが生まれているとのことでしたが、まさに地域の特色を生かした市民協働の取り組みが功を奏している、という印象でした。

 まさに少子高齢化が不可避な現実となっている中、多くの都市では商業機能の停滞や空家・店舗の問題、若者の都会への流出などが共通の課題となっていますが、一朝一夕にこれらの課題を解決する手法がないことは明白です。そうした中、和歌山市の取り組みは市民と行政が日頃から互いの立場や垣根を超えて共通の価値観や理想を語り合い、目標達成に向けてまさにひとつひとつ課題をクリアしているものであると感じました。

 また、そのプロセスにおいて創出される街の魅力は、大資本による大規模再開発といったものとは毛色が異なり、ストリートならではのDIY的な匂いのするものですが、画一的な再開発では生み出せないような独自魅力をその地域に生み出しているように感じました。また、和歌山市のイベントの来場者の多さを見るにつけ、若者世代を中心とした層はまさにそういった地域オリジナルの魅力を好み、そこに集まるということが立証されているようにも感じました。

 大資本は基本的に市場性や地価、人口の多寡等の数値的根拠をベースに市場参入について判断しますが、これからの時代の地方都市ではそういった数字を高めていくことが決して容易ではない中、数字では推し量れないようなストリート発の魅力や価値を市民と行政が協働する形でどれだけ創っていけるか、ということが問われているように感じます。またその過程で、市役所職員が役所の中では学べない多くのことを市民から学び、育成されていくことの意義を実感しました。

 リノベーションまちづくりや水辺空間の活用等の政策のバックボーンとなっているそのような理念の大切さを学べたことが今回の視察の一番の収穫であり、私たちが堺のこれからのまちづくりを考え実践していくためのヒントもここにあるように感じました。

 今回の視察を通してお世話になった和歌山市の職員の方はじめ多くの方に感謝申し上げます。