T・Mさん(4月10日付)
今回の視察で訪れた徳島県神山町は最近の地方創生の流れのなかでもトップランナーとして、自他共に認められている街です。最近は消費者庁が試験移転するなど、話題となりました。今回視察にあたってはNPO法人グリーンバレーの方、そして神山町役場の方に、神山町で挑戦していることについて、ご説明いただきました。
神山町での取り組みは一貫していて、「人口減少は避けられないが、人口減少のカーブを緩やかにすることができる」という一点に尽きます。1995年に約2万人だった人口は、基幹産業であった林業の衰退による過疎化も止まらず、現在の人口は約5千人です。町面積は173㎢で、堺市よりも大きいということからも、いかに危機的な状況かということが分かります。しかも、このまま何も手を打たないと、2065年の人口は2000人を下回ってしまうとのことでした。
そこで、人口減少のカーブを緩やかにし、世代間のバランスを整えていくためには、「毎年若年世帯を5世帯20人(夫婦+子ども2人)移住させないといけない」という単純計算のもと、移住者も若年世代に限定して斡旋するなど、重点的に取組を行っています。計算上は、これでも2065年の人口は3000人まで減少するとのことです。
現在は移住希望者が多く、斡旋する住宅が不足しているため、集合住宅を建設しています。その募集要項についても、入居者の世代間バランスに考慮しつつ、若年世帯を意識したものとなっています。「高校生以下の子どもが同居している世帯に限る」という文字が並びます(子どもが高校を卒業すると集合住宅を退去する必要がある)。ここまで思い切った取り組みをすると、「他の世代は無視するのか」といった声もあるのかもしれませんが、町が消滅するかもしれないという危機感のもと、行政やNPO、地域住民が一体となった取り組みを行っています。
また、町のホームページも見せ方にこだわっています。町の取り組む施策は動画で紹介されており、地域の住民も行政職員も分け隔てなく登場します。一人ひとりのコメントも素晴らしく、取り組んでいる方々がプライドをもっていることがひしひしと感じられました。自分の働き方を省みると、このような姿に写るだろうか・・・と思わずにはいられませんでした。
堺と神山とでは条件は違うところもありますが、今回も刺激的な視察でした。