取得する人も、支える職場も、 みんなが安心して働ける職場へ(2月28日付)
昨年から今年にかけて闘った秋季年末闘争では、私たちが粘り強く要求してきた「育児休業を取得する職員の正規代替」について、「平成31年度からの試験的導入に向けて検討」との回答が示されました。早期に協議を開始し、一日も早く制度化させましょう。
育児休業は、1992年の男女全職種適用、2002年の対象年齢拡大(子が1歳から3歳までへ)と制度が拡充されてきました。これに伴い取得者が増え、取得期間も長期化しています。しかし、代替職員が配置されなかったり、配置されても臨時・非常勤職員や任期付職員で配置されている自治体職場が多くあり、安心して育児休業を取得できる状況にはありません。臨時・非常勤職員や任期付職員では、募集しても応募がない場合も少なくなく、配置されても、短時間勤務の配置であったり、不安定な雇用のために任期途中で退職し、業務に支障が生じるという場合もあります。育児休業を職場に気兼ねをすることなく取得でき、職場も笑顔で、安心して働けるようにするためには、育児休業代替の正規職員配置が必要です。
育休期間の長期化と取得しにくい職場実態
総務省の発表した資料によると、2015年度に地方公共団体において新たに育児休業を取得した職員は、女性37,999人、男性1,268人であり、対象者の取得率は、女性93・2%、男性が2.2%となっています。(「地方公務員月報 17年2月号」より)
取得期間は、男性では3月以下が32・9%、3月超6月以下が12・9%、6月超9月以下が7・1%、9月超が47・1%。女性は3月以下が12・4%、3月超6月以下が11・7%、6月超9月以下が9・4%、9月超が66・6%となっています。
公務員の育児休業制度は、2002年度に子が3歳に達するまでに延長されましたが、それ以降の取得期間の推移をみると、1年を超えて取得する職員の割合が2005年度に5割を超え、その後年々増加するなど、長期化の実態がはっきりしています。
堺市においても「平成25年8月に男性職員を対象に実施したアンケート調査では、育児休業を取得しなかった理由として、『職場に迷惑をかけるから』『業務が繁忙であるから』といった回答が上位となっています。育児休業を取得した日数を性別に分析すると、女性職員では「6月以上1年未満」「1年以上」が大多数(平成26年度で全体の96・7%)を占めるのに対して、男性職員では「1月未満」が多い(同年度で全体の71・4%)ことからも、男性職員が中長期の休業取得に消極的な状況が窺えます」(「堺市職員の女性活躍推進プラン」より)とあるように、職場へ気兼ねをして男性職員の育児休業取得が進まない実態や育児休業期間の長期化の実態が窺えます。
全国で広がる、正規職員配置の流れ
総務省の調査によると、2015年度の新規育児休業取得者の代替要員の配置状況は、「臨時的任用」によるものが61・3%と、他の代替措置を大きく上回っています。次いで、「非常勤職員の任用」が6・5%、「任期付職員の任用」が5・9%、「その他の任用行為」が1・7%となっていますが、育児休業取得者の代替を任期の定めのない正規職員で配置する自治体も広がりつつあります。近年では、名古屋市、京都市、浜松市、岡山市、盛岡市、入間市、新居浜市などでも実現させています。
堺市では現在、一部の専門職種(保健師、精神保健福祉士、社会福祉士、保育士)で育休代替の任期付職員が採用されていますが必要な人数の確保が難しく、不足分は短期臨時職員の配置となっています。
2月7日の交渉で堺市当局は「育児休業を取得している職員の正規職員による代替措置については、平成31年度からの試験的導入に向けて検討してまいりたい」と回答しています。職場の声と実態を組合に結集し、早期に協議をスタートさせ、一日も早い制度化・本格実施を当局に迫っていきましょう。