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大阪市「総合区・特別区」住民説明会

次元の違う比較に疑問(8月22日付)

大阪市の「副首都推進局」は、8月末から「副首都にふさわしい新たな大都市制度」を検討するとして、市民の意見を聞く「総合区・特別区」住民説明会を開くとしています。8月4日付本紙に続き、この問題を考えます。

総合区

 2014年の地方自治法改正で政令指定都市に「総合区」の設置が可能になった主な目的は、政令指定都市における行政区の権限を強化(分権)し、住民自治の拡充にあると考えられます。

「副首都推進局」素案では現在の24区を合区し、大阪市内部に総合区を設置。区割りについて5区、8区、11区を設定し、担う事務について「中核市並み」「一般市並み」「現行の行政区並み」を掛け合わせた5案を提示、今年度中に1案に絞り込むとしています。

特別区

 一方、「特別区」は政令指定都市である大阪市を廃止して分割(合区)し、府の内部団体にするとともに、権限や財源の多くが府に吸い上げられるなど根本的な「統治機構の変更」となるものです。

特別区」については昨年5月17日、多くの問題点が明らかになった結果、大阪市民による住民投票で否決されました。説明会で意見を聞くといいますが、そもそも特別区は存在しない「案」であり、勝手な蒸し返しと言わなければなりません。

 また、政令指定都市の一部である「総合区」と、「都区制度」のもとでの「特別区」は全く次元の違う制度です。これを単純に比較することは、市民に誤解を与えかねず、行政の説明会としては極めて疑問です。

 さらに大阪市の制度に関する住民説明会であるにも関わらず、府知事の出席・説明が予定されていますが、地方自治の観点から矛盾するのではないでしょうか。

また住民投票

 松井府知事は「総合区か特別区かを問う住民投票」を2018年秋までに実施することを表明しています。

 しかし、橋下市長時代から続く大阪維新の会による「制度いじり」に、莫大な財政と役所の能力をさらに注ぎ込み、府民・市民のくらしと福祉の向上、大阪経済の再生という大きな課題を、これ以上おいてきぼりにすることは許されません。

 このような、不毛な制度いじりはやめて、政令指定都市の権限と財源を活用し、住民の声が届き、住民参加のまちづくりをすすめられるような仕組みづくりをどう進めていくのかにこそ、住民の知恵と力を寄せるべきではないでしょうか。

来年2月まで24区で

「総合区・特別区(新たな大都市制度)に関する意見募集・説明会」は8月31日の此花区を皮切りに、来年2月までに全24区で開催される予定です。

 説明会は事前申込制で、大阪市民であればどの会場にも申し込みが可能です。

 政令指定都市大阪市を解体し、財源と権限を奪う「大阪都」構想をあくまでもすすめるために「副首都」化や「総合区」を持ち出し、またぞろ住民投票になるのか否か。

 この議論にさらされ、「堺はひとつ」「堺をなくすな」と意思表示をしてきた堺市民も注視しています。