公民一体の賃上げこそ最良の景気対策~春闘では自治体・地域全体の取り組みを~
(2月17日付)
堺市人事委員会の資料から本市職員の給与は一見増加傾向のように思われますが、物価の変動という要素を加えて考えればその実態が明らかになります。
昨年9月に堺市人事委員会が行った職員の給与等に関する報告及び勧告の資料によると、昨年の平均給与(4月、時間外勤務手当を除く、以下同じ)は39万107円で前年度比1・4%増となり、4年ぶりの高水準となりました。しかも今年度は「月額平均1461円、0・39%引上げ」勧告が行われています。一見、給与が上がっているようですが、この1年で「家計に余裕ができた」「楽に貯金できた」と感じる方は少ないのではないでしょうか。
06~12年は賃金額低下
それもそのはず、堺市が政令指定都市に移行した06年の平均給与は42万4574円と、15年と比べて3万3千円以上も高い水準でしたが、そこから12年まで6年連続で毎年1%を超える賃下げが繰り返されました。この間は消費者物価指数(以下、「物価」)もほぼ変動がなかったため、給与減少はそのまま生活水準の低下につながった時期といえます。
そして12~14年はほぼ38万円台半ばで推移し、15年に一定の賃上げがされたようにみえます。しかしここで問題になるのが「実質賃金」です。
近年実質賃金低下
13年までは消費税が5%でしたが、安倍首相や日本銀行の黒田総裁がすすめる「インフレ誘導」により、物価は13年から15年にかけての2年間で3・6%も上昇。この結果、堺市職員の賃金指数は、仮に10年を100と指数化した場合、06年は106・1であったのが07年104・5、08年101・8と急激に低下し、額面上は13年(97・1)より高い15年も94・8となり、実質では2年間で2%以上、賃金水準が低下しました。
厚生労働省が8日発表した実質賃金指数は、10年を100として15年が94・6。堺市職員給与とほぼ同水準です。
給与は微増だったものの、物価の上昇に追いつかず、実質は目減りしているのです。
賃下げスパイラル続く
公務員給与は民間給与と比較し、人事院や人事委員会から勧告を受けて決定するので当然といえば当然ですが、「公務員賃下げ→民間賃下げ→公務員賃下げ・・」という負のスパイラルが続いていることが明らかになっています。
市議会2月定例会では15年度給与の0・39%引上げと同時に、今年4月からの「給与の総合的見直しによる給料表平均1・5%引下げ」も提案される見込みです。
「総合的見直し」に根拠がないことは本紙で何度も既報のとおりですが、根本的には、民間・公務一体で賃上げされることこそが最良の景気対策です。
16国民春闘では堺市や周辺自治体のみならず、地域の民間労組とも一体となって、賃上げを勝ち取れるよう取り組んでいきましょう。