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2015年版防衛白書がまるで宣伝冊子に

辺野古移設の正当性強調、戦争法案を先取り

安倍首相の二大対米公約を推進

(7月27日付)

 政府は21日の閣議で、2015年版防衛白書を了承しました。今年の白書は、7月16日に衆院を通過したばかりで成立もしていない平和安全法制(戦争法案)の説明に10ページを割くという異例の記述ぶりです。

 憲法違反との批判が噴出している同法案を先取りで既成事実化するもので、「防衛政策の基本について国民の理解を得る」という白書の建前を投げ捨て、「安倍政権の政治宣伝冊子」のようです。

 沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設と、戦争法案の制定という安倍首相の二大対米公約の推進路線が色濃く反映された内容となっています。

辺野古移設後押し

 例年の白書は、1年間の国内・国際情勢の変化を受け、「脅威」に対する認識や各国の動向、政府方針の記述が少しずつ加筆・改訂されます。

 しかし、沖縄の米軍基地問題に関する記述ぶりは、昨年11月の県知事選で辺野古反対の翁長氏が容認の仲井真氏に勝利したことで、大きく転換しました。

 14年版は仲井真知事と協調する記述が目立っていました。しかし、15年版は、首相や菅官房長官が繰り返し述べた「辺野古移設」は盛り込みますが、沖縄の民意を尊重するかのような言葉は跡形もなくなっています。

②戦争法案を正当化

 白書では、中国「脅威」論の記述も増えました。これは、戦争法案をめぐる質疑で、政権が「我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している」と強調していることを踏まえ、戦争法案の必要性を説明するためです。今月7日の自民党国防部会では、「中国の記述が少ない」などと問題視する声が出されたことを受け、東シナ海での天然ガス採掘に関して、中国側が「新たな海洋プラットフォームの建設作業を進めている」との記述を急きょ加筆する異例の対応も行ないました。

海外でも採決強行批判

 アメリカのニューヨーク・タイムズ紙は20日、安倍政権の衆議院での強行採決について社説で「安倍総理が戦後日本の平和主義への痛切な誓いを尊重するのか(日本国民の間に)大きな不安を引き起こした」とした上で、集団的自衛権の限定的行使を憲法解釈の変更で認める法案を、衆参両院で与党が多数を握る状況で採決した点も批判。

 また戦争法案をめぐり、学者・文化人約1万人が反対署名に名を連ね、数万人がデモに参加し、世論調査も反対多数と紹介。多くの日本国民には、安倍首相が「前にすすめるための正しい方法を選んだようには見えていない」と述べ、強い懸念を示しました。

 英紙ガーディアン、米CNNテレビ、英BBCテレビなども「国民不支持多数の安保法制が衆院可決」と報道しました。

国内でも

 国内でも、強行採決後の各種世論調査で、内閣支持率は軒並み低下し、不支持が上回りました。

 一方安倍首相は、民放番組に相次いで出演し、戦争法案を町内の防犯活動に例えて説明していますが、逆に「火事と戦争は違う」「個別的自衛権で対応可能なのになぜ集団的自衛権行使が必要なのか」と批判や疑問が相次ぎ、22日の自民党総務会でも「火事の話はよく分からなかった」「女性の理解が進んでいない。徴兵制の不安を解消するよう努めるべきだ」との意見が出されるほどです。

 日を追うごとに高まる批判の声。戦争法案は廃案とすべきです。