堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

堺市職労(堺市職員労働組合)ブログです。

都構想後の大阪を提案

大阪自治体問題研究所がシンポジウム 地方自治で大阪を再構築 (6月25日付)  6月20日、大阪自治体問題研究所第44回総会記念シンポジウム「都構想後の大阪を提案する」が開催されました。 関西学院大学・冨田宏治教授  大阪市を廃止する住民投票は歴史的勝利である。自民党公明党民主党共産党の共闘。民意の声、府民のちから、大阪市なくさんといてよ市民ネットワークなど多くの市民団体が活躍。地域振興会、医師会、歯科医師会、トラック協会などが反対表明。次々と現れた普通の市民の手作りチラシなどひとりひとりの市民が自らの意思で立ち上がった。一点共闘の広がりと深まりの中、「なにわの市民革命」は「民主主義の学校」となった。 大阪学院大学・梶哲教准教授  大阪戦略調整会議の設置目的は、大阪市堺市大阪府が「政策的に協調し、政策の一体性を確保するため」であるが、問題点は、議題となる事項の範囲が明確でない、また同一自治体内で首長と議会多数の意見が異なるときに不都合が生じるのではないか。 立命館大学・森裕之教授  大阪都構想の最大のペテンは、2重行政を解消しても財政が生まれない。95%ペテンだが、今の大阪市が市民の声が届きにくいのは事実。その解消策として、ニューヨークのコミュニティ委員会を紹介する。主な機能として、土地利用計画の審査・勧告がある。統一土地利用審査手続に基づき、当該地区で土地利用の変更や開発計画がある場合には、必ずコミュニティ委員会に計画書を提出することが義務付けられている。提出された計画書に関する公聴会を開催して内容を審査し、委員会として意見書を申請者、市の都市計画委員会、区長に提出する。最終決定権はないが、実際には最終決定内容の8~9割は意見書が採択されている。また、行政サービスの監視や予算優先順位を策定する。 奈良女子大学中山徹教授  共同の具体的政策として以下の6点を提示。 ①カジノ、大型公共事業の経済政策ではなく、賃上げ、雇用の安定、消費の拡大を軸にした経済対策を進める。 ②市民サービス向上を自治体施策の優先課題とする。医療・福祉・教育を雇用対策として積極的に位置づける。 ③地域の歴史、文化、コミュニティを維持・発展させる。 ④地域を軸に、食料・エネルギーの自給率向上、地産地消を進める。また、防災対策を重視し、安全な地域の形成を優先させる。 ⑤戦争できる国・地域づくりではなく、憲法9条を守り、平和な日本を維持・発展させる。 ⑥行政の公的責任を明確にし、安易な民営化ではなく、市民参加を保障し、市民とともに歩む行政を作る。 コーディネータ・鶴田廣巳前理事長  規制緩和が行われているが、金融の暴走などむしろ規制すべきである。大都市制度をどうするかだ。地方自治制度を活用し、大阪を再構築して豊かにしてゆく。大阪にリニアをもってくるという議論もあるが、わからなくもないが、そんな時代じゃないと思う。「自治大阪/2011年7月号」に産業連関分析を政策選択のツールとして捉えるという論文がある。第1次波及効果の生産誘発額は公共事業が他を上回るものの、社会保障事業にそん色があるというほどではない。ところが、第2次波及効果では、公共事業が下回る。社会保障は第1次波及効果で生じた雇用者所得の一部が消費に転換され、その消費がさらに府内生産を誘発するのが追加波及であり、雇用者所得誘発係数において、社会保障事業が公共事業を圧倒していると述べている。地域の再生を考える上でひとつのカギになるのではないか。