堺市職労(堺市職員労働組合)ブログ

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時間外勤務の縮減に人員体制の確保は不可欠

使用者は1日8時間、週40時間を超えて労働させてはならない(労働基準法32条

(6月2日付)

 5月28日の第4回交渉で当局は、「時間外勤務の縮減及び適正把握については、これまでの経過を踏まえ、引き続き協議してまいりたい」と回答しましたが、時間外勤務縮減のためにも要員管理方針を見直し、体制確保を図ることが不可欠です。

時間外労働は公務のために「臨時」の必要がある場合のみ

 労働時間については、労働基準法32条において「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」(第1項)、「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」(第2項)と定められています。

 一方、同36条において「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、(中略)その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」とし、いわゆる「36(サブロク)協定」を締結した場合には、1日8時間、週40時間を超える労働を認めています。ただし、36協定を締結した場合であっても「時間外労働の限度に関する基準」(平成10年労働省告示154号)において、1カ月45時間、1年間360時間を超える時間外の協定を原則認めていません。

 公務員については第33条第3項で「公務のために臨時の必要がある場合においては、第1項の規定にかかわらず、官公署の事業(別表第1に掲げる事業を除く。)に従事する国家公務員及び地方公務員については、(中略)労働時間を延長し、又は第35条の休日に労働させることができる」とし、公務のために臨時の必要がある場合に限り時間外労働を認めています。

堺市の異常な長時間労働の実態

 堺市当局は、労働基準法別表第1に該当する職場以外は、労基法第33条第3項の「公務のために臨時の必要がある場合」として、36協定の締結なしに時間外労働を命じています。

 しかし堺市における時間外労働の実態は、時間外労働の限度に関する基準(上限時間)である年間360時間を超える時間外労働を行っている職員が、平成26年度は401人で全職員の11%に及んでいます。また平成24年度に1カ月の時間外勤務が100時間を超えるなどして、健康障害防止のための医師の面接指導の対象となった職員は184人(上下水道、消防を除く)とまさに異常な実態です。

 平成27年3月26日付けの監査結果報告に添える意見では「本市においては、書面による事前命令の義務付けやノー残業デーの定時退庁などの取組は行っているが、それらはいずれも業務自体や仕事の進め方の見直しと言うよりも、時間外勤務縮減に向けた啓蒙であると考えられるため、時間外勤務が発生する原因究明や改善に結び付くより具体的な対策に取り組まれたい」と指摘されています。

長時間労働の原因は深刻な人員不足

 当局はこの指摘を受けて、「時間外勤務の必要性の精査」「事前命令の更なる徹底」「長時間勤務の防止」などの取組をすすめていますが、一方で、今年の夏季要求アンケートにも寄せられているように、こうした取組がサービス残業の温床につながるとの危惧も広がっています。

 また、当局は5月28日の交渉で「特に長時間にわたる時間外勤務の縮減については、勤務の実態を調査・分析し、より実効性のある取組を行ってまいりたい」と回答しましたが、平成27年度の常勤職員数は4,484人と、要員管理方針上の目標人数を67人上回っているものの、再任用職員はフルタイムの換算で201人も少ない状況であり、時間外勤務縮減のためには、要員管理方針を見直し、業務量に見合った人員体制の確保が不可欠です。

 職員の命と健康を守るためにも、労働組合に結集し、人員体制の確保を引き続き求めていきましょう。